遺体が腐敗して発生する死臭。 死臭によって孤独死が発見されるケースは少なくありません。
普段かぐことのない強烈な臭いで、消臭剤などを使っても自力で除去できません。
強烈な臭いを放つ原因、臭いがもたらす弊害、そして消臭不法について詳しく解説します。
死臭でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
死臭は亡くなった人の生前の状態(栄養状態や疾患の有無、摂取している食事など)によって違いがあるそうですが、家の中など屋内で腐敗した場合は、 くさややチーズ、生ゴミが腐った臭い に近いといわれています。
2022年1月に米国で豚の心臓を人間に移植する手術が行われました。
ニュース番組でも大きく報道されていたので、記憶している方も多いでしょう。
この時に人間とブタの臓器が似ていると知って驚きましたが、皮膚を作る組織や眼の構造、血圧なども人間に近いそうです。
ブタの臓器や細胞が人間と似ているなら、もし停電で冷蔵庫に保管していた豚肉が腐ってしまったら、人間の死臭と同じような臭いが発生するのかもしれません。
確かに肉類の腐敗臭は、例えようのない異様な悪臭がします……。
人間の腐乱死体は大きいので、尋常でない臭いが発生するだろうと想像に難くありません。
死臭とは遺体の腐敗とともに放出されるガスのことで、バクテリア(細菌)などの微生物が遺体を分解する際に生成されます。
人間が生きている間は、体内に微生物が侵入しても免疫機能によって体は守られています。
しかし、死後は免疫機能が停止してしまうため微生物が大量に増殖し、遺体が一気に腐敗し始めます。
この腐敗の過程で体内にガスが発生し、体が膨張に耐えられなくなると皮膚を突き破ってガスと体液(腐敗汁)が体外へと放出され、 強烈な死臭を放つのです。
室内の温度が高く湿気が多いと微生物の繁殖が活発になり、腐敗の進行が早まります。
エアコンや暖房機器をつけたままなど室内環境にもよりますが、夏場で2~3日、冬場でも5~7日程度で腐敗が進み、臭いが漂い始めます。
腐敗した遺体が臭いを放つのは、体内に存在する微生物や細菌が宿主(亡くなった方)の体を崩壊(分解)させながら放つ物質が原因です。
その物質とは、主にアンモニア・トリメチルアミン・インドール・スカトール・メンタチオール(メチルメルカプタン)・硫化水素・揮発性アミン・プトレシン・酪酸(ブタン酸)・吉草酸・カダベリン・プロピオン酸(脂肪酸)など、複数の悪臭成分です。
特にカダベリンとプトレシンは、ほとんどの動物が逃げ出すほどの悪臭を放つ成分として知られています。
人間の腐乱死体は大きいため、尋常ではないほどの悪臭を放っています。
防護服とガスマスクを着用し、少しでも臭いを抑えるようにしなければ立っていられないほどです。
死臭は強烈な臭いを放つだけでなく、様々な悪影響をもたらします。
死臭を放置せず、早急に対処しなければいけない理由を解説します。
死臭はとにかく臭気が強く、離れたところでも臭いが漂います。
壁や床、衣類や家具などの家財にも付着しやすく、一度染み付いた臭いはなかなか取れません。
マンションやアパートなどの集合住宅では、同じフロアだけでなく上下階の部屋にまで臭いが染み移ってしまうことも。
早めに対処しなければ、近隣トラブルに発展するおそれもあります。
腐敗した遺体から発生する死臭は大量の害虫を引き寄せます。
換気扇の隙間などからハエやゴキブリが侵入し、遺体に卵を産み付けます。
遺体が発見されるまで繁殖を繰り返し、室内は悲惨な状況に……というケースは少なくありません。
特にゴキブリは遺体の髪の毛もエサにしてしまうのです。
現場は荒れる一方なので、早めの対処が必要です。
また、遺体に触れ体に病原菌をまとっている害虫は室内だけでなく隙間から外に出て飛び回り、病原菌を拡散します。 室内の物(遺品)や家屋全体に被害を及ぼすのはもちろんのこと、病原菌を付着させて飛び回っているハエやゴキブリが近隣の洗濯物などに触れてしまうような事態が生じ、非常に危険な状態になります。
遺体の腐敗が進むと、体外に体液が漏れ出て床や畳に染み込みます。
深部にまで染み込むと死臭がこびり付いてしまい、臭いやシミの完全除去が非常に難しくなります。
また、遺体発見までの期間が長引くと体液が床材にまで染み込み、腐敗することも。
マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、下階の部屋の天井に体液が染み込むこともあります。
もちろん臭いも残り、トラブルが連鎖する可能性も否定できません。
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強烈な悪臭を放つ死臭。 除去するにはどうすればいいのでしょうか。
臭いを消す方法を順に説明します。
部屋の中のどこで亡くなったかによって消毒をする範囲は変わります。
亡くなった場所がどこなのかはとても重要です。
老衰や餓死などが原因であればリビングや布団の上、心筋梗塞などで急にお亡くなりになった場合はお風呂場やトイレなどの場所も考えられます。
しかし特殊清掃で重要なのは、遺体があったところだけが汚染箇所ではないということです。
腐敗した遺体からは体液や血液が染み出しますが、カーペットや床材をつたって汚染部分はどんどん広がっていきます。
汚染は遺体があった場所から広範囲にわたって広がっていると考えて除去しなければいけません。
遺体の体液や血液、害虫から媒介する感染症を防ぐため、清掃を始める前に害虫駆除、消毒、消臭を行います。
衛生対策を万全にして、掃除ができる環境作りから始めます。
体液や臭いの染み付いた家財やゴミなどを部屋の外に運び出します。
室内の物を運び終えたら、体液や血液の除去作業を行います。
専用の薬剤を使用して原状回復を図ります。
目視できる範囲できれいに清掃した後は、床や壁の内部に体液などが深部にまで染み込んでいないか確認します。
もし染み込んでいれば、いくら消臭をしても完全に除去できず、家屋が腐食するおそれも否定できません。
状況次第では床材や壁材の交換、家屋自体の解体公示が必要になる場合があります。
最後にオゾン消臭などで、室内に残る死臭を徹底的に除去して臭い戻りを防ぎます。
死臭を消す方法を前章で紹介しましたが、個人で対処できるものではないとお分かりいただけたでしょう。
死臭はハウスクリーニング程度の清掃では除去できません。
事故や事件現場などの清掃を専門的に行う特殊清掃業者に依頼しましょう。
特殊清掃業者が行うのは、孤独死や自殺などの事故死現場の清掃・消臭・原状回復作業です。
強烈な死臭も完全に取り除いてくれます。
遺体の発見が遅れて凄惨な状況の部屋のように、依頼者が立ち入れない困難なケースでも対応してもらえます。
ほとんどの業者では、清掃作業とあわせて不用品回収やゴミの回収、遺品整理、リフォームなどを請け負ってくれるので一括で頼めば作業完了まで円滑に進みます。
特に、現場がマンションやアパートなどの賃貸住宅であればなるべく早く引き払わなければならないため、利用すれば期間を短縮できるメリットがあります。
家族や親族が孤独死で亡くなり、遺体が腐敗していたという状況にもし自分が向き合わなければならないと考えたとき、心身に大きな苦痛を受けるでしょう。
ましてやその現場の第一発見者になってしまったら、トラウマになる可能性も十分にあり得ます。
経験豊富な特殊清掃業者は依頼者に寄り添って的確に対処してくれますので、不安な点や清掃後の部屋・家の活用など悩みがあれば相談に乗ってもらいましょう。
強烈な臭いを放つ死臭は、様々な悪影響をもたらします。
特に孤独死などによって遺体の発見が遅れた場合、家屋に臭いが染み付いたり、床材や壁材が腐食したりする他、害虫の発生による近隣住民の健康被害など、憂慮すべき大きな弊害が生じます。
素人が臭いを除去するのは不可能なので、そのまま放置せず、特殊清掃業者に依頼してください。
そうすれば必ず解決できます。
ほとんどの業者は清掃作業とあわせて不用品回収やゴミの回収、遺品整理、リフォームなども引き受けてくれますので、悩み事や疑問点を相談しましょう。