孤独死は高齢者に多いイメージをお持ちではないでしょうか。
孤独死に関するデータによると、約40%が現役世代である50代以下が占めています。
当コラムではその中でも「20代の孤独死」に注目して、発生の原因と解決策を紹介します。
一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会が調査した「第6回孤独死原状レポート」によると、2015年4月~2021年3月までに発生した少額短期保険会社の家財保険(孤独死特約付き)に加入している被保険者の孤独死者数は5045人で、そのうち210人が20代の孤独死と報告されています。
実に、孤独死全体の4.2%が20代の若者ということになります。
この数字を多い思うか少ないと思うかは人によって違うと思いますが、社会全体の問題として向き合うべき数字であるのは間違いありません。
参考:一般社団法人日本少額短期保険協会 「第6回孤独死原状レポート」
20代の孤独死210件のうち、 男性138件
女性71件
となっています。
割合で見ると、男性が65.7%、女性が34.3%で、男性のほうが多くなっています。
しかし、孤独死全体の男女比は男性83.1%、女性16.9%となっており、20代の女性の孤独死の割合が高いのが分かります。
男女別の孤独死の年齢を見ると、20代男性が3.4%、20代女性は8.3%と、全体で見ても20代女性の孤独死の割合は高いといえるでしょう。
「第6回孤独死原状レポート」によると、孤独死の主な原因は病死です(65.6%)。
しかし、20代の孤独死は病死ではなく、自殺が多いと考えられています。
厚生労働省が発表している年齢階級別の死因順位によると20代の死因の原因は男女ともに自殺が1位を占めています。
参考:厚生労働省「第8表 死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」
少し古いデータですが、世代を問わず自殺の手段で一番多いのは縊首(いしゅ)(=首吊り)となっています。
そのため、孤独死の割合が高くなるのではないかと考えられています。
参考:厚生労働省「7.手段別に見た自殺」
当コラムを運営している、特殊清掃プログレスにも自殺をされた20代の方のご両親やご親族から依頼をいただくことがあります。
決して詮索しているわけではありませんが、故人の部屋を片付けていると、生前の生活に関する情報が得られることがあるそうです。
「孤独死する方には共通する特徴がある」という話をスタッフから聞いたことがありますので紹介します。
生活環境や栄養状態が悪化していても改善する気力を失っている状態のことを「セルフネグレクト」といい、孤独死される方の多くがセルフネグレクトに陥っているともいわれています。
また、衛生環境と精神状態は直結していると考えられ、部屋が汚れていると生活そのものに活力を感じなくなり、やる気が出なくなります。
最終的に生きる気力を失い、残念ながら自殺を選択してしまう人も少なくありません。
孤独死といえば、ゴミ屋敷・汚部屋とイメージする方もいらっしゃるでしょう。
確かに多いようですが、20代で孤独死された人の部屋に関してはあまり見られないようです。
若者よりも高齢者の住まいに多く、その原因として、体力面で片付けができなくなった、妻に先立たれて家事をしたことのなかった高齢の独居男性が増加しているなど様々な要因が考えられています。
一方で20代の若者の部屋は、少し片付ければきれいになる程度の荒れ模様が多いようです。
なぜなら、ほとんどの方が物をあまり所有していないからです。
食事は自炊をせずとも外食やテイクアウトで済ませられますし、洗濯はコインランドリーを利用すればベランダに干す必要がありません。
衣服や下着類も少ししか持っておらず、生活感がなく暮らしぶりがイメージできないようなケースもあるそうです。
家族や兄弟、親戚が遠方に住んでいると互いの近況があまり分からず、病気や怪我などで体調を崩しても変化に気づかない場合があります。
定期的に連絡しない限り会話の頻度も少なくなり、疎遠になる可能性も否めません。
孤独死は、普段から家族や友人と連絡を取り合わないタイプの人に起こりやすいといわれています。
職場や学校でも表面上の付き合いだけで済ませ、悩みを打ち明けたりしない人も、変化が起きたときに気づかれにくい傾向があります。
近所の人と毎日あいさつをし、行きつけのお店や病院、郵便局などで顔見知りになっている人がいれば、数日顔を見せなくなると「何かあったのかな」と思ってもらえますが、普段から関わりがない場合は誰からも変化に気づいてもらえません。
人付き合いやコミュニケーションが苦手な人は、あらゆる場面で消極的になりやすいため周囲に印象を残しません。
そのため、体調面や精神面に変化が起きても気づかれにくいのです。
学校やアルバイトを休んでも「性格的な問題」などと思われて、あまり気にしてもらえないケースも考えられます。
仕事を解雇されたり、なかなか正社員になれなかったりして生活が困窮している人も孤独死に陥りやすくなります。
貧困が原因の場合は、家賃や光熱費、社会保険などの支払いに追われて健康的な食事ができず、体調が悪くても病院に行けないなど生活面に大きな影響を及ぼします。
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一人暮らしは自分の思い通りに過ごせる反面、食事や掃除などの衛生環境を疎かにしたり、生活リズムが乱れたりしがちです。
もし一人暮らしをしているお子様がいらっしゃれば、メールやチャットでも構いませんので、規則正しい生活や健康的な食事を意識するよう定期的に連絡をしてあげてください。
このときに心身に異変がないかもよく確認しましょう。
進学などで初めて一人暮らしを始めるときは、親も一緒に管理人や大家さん、隣人に挨拶をしておくと安心です。
顔を覚えてもらえますし、普段からしっかりと挨拶をしていれば何かあったときに声をかけてもらえる可能性が高まります。
近隣の人と関りを持つことの大切さを説いてあげるのも、親が子にできる教育といえるでしょう。
もしお子様がInstagramやLINEなどのSNSを利用している場合は、投稿を定期的にチェックしてみてください。
急に投稿しなくなったり、コメントの様子がおかしかったりすれば心身の変化に気づけるかもしれません。
普段から家族と連絡を取り合わない人や、悩みを溜め込みがちな人は孤立しやすい傾向があります。
助けが必要な場合も自らSOSを出しにくいため、体調を崩した場合に病気を悪化させてしまうことも考えられます。
現在はメールで相談できる機関もあるので、人付き合いが苦手な人は自分に適したコミュニケーションツールを利用して悩みを聞いてもらったり、アドバイスを受けたりして人とのつながりを途絶えないようにしましょう。
趣味がない人は外出の機会が減ります。
趣味があっても自宅にこもって一人で完結できるものや、買い物もネット通販で済ませれば、自然と引きこもりがちになります。
例えば読書のように自宅にいながら一人で完結できる趣味であっても、共通の趣味を持っている人が集まるグループサイトやSNS上で開催されている読書会などに参加すれば多くの人とコミュニケーションが取れます。
ゲームや漫画、プラモデルの製作なども同様です。
SNSは国内のみならず世界中の人とつながることができるので、自分の好きな作家や書籍を同じように愛読している人は地球上のどこかに必ずいます。
そうした人たちと出会えればうれしいですよね。
自宅に一人で閉じこもっていても、世界中のいろんな人とつながることができると考えればワクワクしませんか。
言葉の問題は翻訳機能を使えばすぐに解決できますし、知らない土地の文化や風習なども知れて視野も広がります。
日常生活でコミュニケーションを取ることは本当に大切です。
SNSやインターネットはコミュニケーションツールとして大きな受け皿になっています。
だからといって、寂しさを紛らわすために無理をしてまで誰かとコミュニケーションを取ったり、人と関わるために自分を取り繕ったりする必要はありません。
もし落ち込んだり、不安を感じていることがあったりすれば、同じ悩みを持つ人たちが集まるグループサイトで悩みを打ち明けると良いでしょう。
悩みを打ち明けて聞いてもらうのもコミュニケーションです。
同じ経験をした人がいるとわかれば、自分は一人じゃないと勇気づけられますし、同じように誰かを勇気づけることができます。
人付き合いが苦手な人もSNSでならコミュニケーションが取りやすいと感じる人が少なくないかもしれません。
SNSをうまく活用して多くの人と関わることができれば、日々の生活で楽しみも増えていくでしょう。
20代という若い世代で孤独感を感じている人は、ぜひSNSも進んで活用してみてください。
60代や70代の高齢者とは異なるアプローチ方法と受け皿を活用できるのは、若い世代ならではの特権です。
ただし、利用者の弱みに付け込んで詐欺を行う悪質なサイトも横行しているので、十分に注意しましょう。
また、誰かを傷つけるような発言も絶対にしてはいけません。
自分はもちろん、誰かのためになる発信をするのがSNSやインターネットサイトでの有効なコミュニケーションです。
孤独死と聞いて、20代の若者をイメージする人は少ないかもしれませんが、実は孤独死全体の4%以上を占めています。
孤独死を未然に防ぐには、日常生活のコミュニケーションが不可欠です。
特に20代の孤独死を防ぐ手段として有効なのは、InstagramやLINEなどのSNSツールの利用です。
人付き合いやコミュニケーションを取るのが苦手な人でも、SNSなら悩みを打ち明けられる可能性もあるため進んで活用しましょう。
当コラムで若者が孤独死する原因と解決策を説明しました。
一人暮らしをしている家族や親戚がいる人は、ぜひ理解を深めていただければ幸いです。
定期的に連絡をしたり、様子を確認したりするなどして身近な人の孤独死を防ぎましょう。