特殊清掃が必要になるような現場には、専門業者による清掃・除菌作業が完了するまで決して立ち入ってはいけません。
汚れが目立つ場所以外は問題ないと思うかもしれませんが、死後の発見が遅れた現場にはウイルスや細菌が蔓延しており、感染症に罹患するおそれがあります。
・特殊清掃現場にはどのような危険が潜んでいるのか
・特殊清掃現場で感染症のリスクを抑えるために行っている対処方法とは
今回はこの2点について解説します。
万が一、入室せざるを得ない状況になった場合に備えて知識を蓄えておきましょう。
自殺現場や孤独死などで遺体が長期間放置されると腐敗が始まります。
しばらくして異臭が漂い、ハエやカラスが急激に現場周辺にあふれるようになって近隣住民が異変に気付き、発見に至るケースも少なくありません。
腐敗は夏場で2~3日、冬場でも7~10日ほどで始まります。
死臭は人間の組織を微生物が分解して発生しますが、カダベリンや酪酸などを代表とする何百もの悪臭成分が混ざりあっているため、非常に強烈な臭いを放ちます。
腐敗臭や体液、血液が染み付いた部屋に立ち入るのは感染症のリスクがあり、非常に危険です。
肝炎やコロナウイルスなどの感染病が原因で亡くなった場合は、遺体の体液や血液に触れるだけで感染するリスクがあります。
衰弱死や餓死でも発見が遅れるとウジ虫などの害虫が発生して、細菌やウイルスによる感染症を引き起こす可能性が高まります。
死因がはっきりわからないまま部屋に入ってしまうと感染症に罹患し、最悪の場合は自身の命を危険にさらすような事態になりかねません。
遺体が放置されている部屋は常に危険と隣り合わせなので、立ち入らないようにしましょう。
感染症とは、細菌やウイルス、真菌、寄生虫などの病原体が体内に侵入し、発熱や下痢、咳などの症状を引き起こす病気のことで、目や鼻では感知できません。
やむを得ず特殊清掃現場に足を踏み込まなければならない場合は、感染症のリスクがあると認識したうえで、防護服、マスク、手袋を着用して感染症対策を徹底する必要があります。
細菌やウイルスは、血液や体液に群がったハエやウジ虫、ゴキブリなどの害虫、ネズミやイタチなどの害獣を媒介して体内に入り込む可能性もあります。
人の生活圏の近くで生息してるハエとネズミが媒介する伝染病の例を紹介します。
ハエは食べ物や排泄物に関りがあるため、赤痢やコレラ、寄生虫卵、ポリオウイルスなど様々な病原菌を伝搬しています。
不衛生な場所を好むネズミは、サルモネラ症(食中毒)、腸チフス、鼠咬症、ペスト、致死率の高いハンタウイルス肺症候群などを引き起こす菌やウイルスを全身にまとっています。
ネズミは尿を垂れ流しながら動き回る習性がある害獣です。
尿や便に含まれた病原菌を家の中でもところかまわずまき散らしているので駆除は欠かせません。
感染症の危険と常に向き合っている特殊清掃現場では、どのような感染症対策を講じているのでしょうか。
遺体の腐敗液に含まれる細菌や臭いから身を守り、感染症の危険性を回避するためには防護服の着用が必須です。
防護服とあわせて防毒マスク、ゴーグル、厚手のゴム手袋、シューズカバーも準備します。
ほんの少し立ち入る程度であれば一般的なマスクや私服でも問題ないと思うかもしれませんが、腐敗臭は一般的なマスクでは侵入を防げません。
服にも臭いが染み付いて洗濯してもなかなか除去できず、処分せざるを得なくなります。
さらに身体的なリスクにさらされる危険が高いため、特殊清掃業者による除菌が終わるまでは入室しないようにしてください。
特殊清掃を始める前に部屋の空間除菌を行います。
除菌に使用するのは市販では売られていない特殊清掃専用の消臭・除菌薬剤です。
次亜塩素酸ナトリウムなどをガーデニング用の噴霧器で散布すると、菌はある程度は死滅しますが、特殊清掃を必要とするような現場では十分な滅菌は行えません。
必要な物を取り出すだけなので、自分である程度のリスクを回避できる方法を知っておきたいという方もいらっしゃると思います。
たとえ防護服や除菌薬を準備しても知識や経験がなければ行えません。
感染症のリスクを考慮すると専門業者に依頼するほうが確実かつ安全です。
特殊清掃業者は様々な現場で対応しているエキスパートです。
特殊清掃業者に処置をしてもらえば私服のまま安全に入室できるようになりますので、急ぎの場合でも必ず業者に依頼しましょう。
プログレスは全国の
エリアで展開中!
現状対応できない地域も一部ございます。
詳しくはお問い合わせください。
特殊清掃業者に依頼をする場合、何を基準に選べばいいのでしょう。
「急いでいるのでどこでもいい」と思うかもしれませんが、高額請求や臭いの除去ができていないといったトラブルに遭わないためにも、ポイントをしっかりと押さえて選定しましょう。
特殊清掃は数多くの現場経験を積んでいなければ対応できません。ホームページで過去の現場対応の実績と、どのような現場でも柔軟に対応できる技術力と経験を兼ね備えているかを確認しましょう。
利用者の感想や口コミにも目を通しましょう。
料金や清掃後のトラブルについて言及していますので、ホームページの情報だけではわかりにくい業者の雰囲気をつかめます。
現場でどのような作業を行うか、使用している機材や薬剤などについても調べておきましょう。
長年にわたって事業を行っている業者であれば、利用者が不安にならないようホームページに詳細を掲載しています。
当コラムを運営している特殊清掃プログレスでも「特殊清掃サービス」の詳細を詳しく説明していますのでご確認ください。
特殊清掃は資格を保有していなくても行えるため、専門的な技術や知識が乏しい状態で参入する業者も存在しています。
国家資格ではありませんが、特殊清掃には事件現場特殊清掃士という専門資格があり、特殊清掃を行うために必要な知識と技術を学びます。
事件現場特殊清掃士の資格を保有しているスタッフが在籍している業者であれば悪徳業者に引っかかる確率は減り、安心して利用できます。
*参考サイト
一般社団法人 事件現場特殊清掃センター『事件現場特殊清掃士とは』
特殊清掃を専門業者に依頼すれば感染症のリスクを回避できます。
自分が感染症に罹患しなければ、家族の健康も脅かされず安全です。
特殊清掃業者は専用の薬剤を使用するので、確実に菌や臭いを除去してくれます。
業者に除菌・消臭作業を行ってもらえば菌の増殖や他の部屋への移動も防げるため、清掃後に住む場合も影響は及びません。
特殊清掃とあわせて遺品整理や不用品の回収、リフォーム、ハウスクリーニングなどを行ってくれる特殊清掃業者も多く存在しています。
依頼者が高齢者の場合や、清掃現場が賃貸住宅で退去期限が迫ってるようなときは、特殊清掃とセットで行ってもらえれば労力や手間を大幅に軽減できます。
特殊清掃プログレスでは特殊清掃とあわせて必要となる遺品整理や、リフォーム、ハウスクリーニングなどの幅広いサービスにも対応しています。
感染症や病気が原因で亡くなっている場合は、体液や血液に触れるだけで感染症にかかる危険があるため、完全防備をして入室しなければなりません。
自殺や衰弱死の場合も害虫や害獣を媒介して菌やウイルスに感染する可能性があります。
当コラムで感染症の危険性をおわかりいただけたと思います。遺体が放置されている現場の危険性について正しい知識を身につけておくと、万一の事態に遭遇したときに適切な対応ができます。
たとえわずかな時間でも遺体が放置された部屋に立ち入るのは危険なので、必ず特殊清掃業者に依頼しましょう。