孤独死現場の清掃は業者へ依頼すると費用がかさむため、なかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか。しかし、孤独死の現場を清掃しないと、部屋は悪化し、さまざまな弊害を引き起こしてしまいます。
今回はそんな孤独死が起きた時、掃除しないで放置するとどうなるのかについて解説します。
まず始めに孤独死について解説します。
孤独死とは「誰にも看取られることなく、一人で亡くなること」を指します。つまり、一人暮らしの高齢者だけでなく、一人暮らしである限り、どんな方にも起こりえることです。若い方が部屋で転倒などの事故を起こし、一人で亡くなった場合も孤独死と呼ばれます。
最近は少子高齢化社会や核家族化の影響により、一人暮らしの高齢者は増えています。また、近年のコロナウイルスの影響からテレワークやZoom飲み会などになることで、外出しない一人暮らしの若者も増えています。そのため、年々高齢者若者ともに孤独死の件数は増えているそうです。
そして、孤独死が起きると遺体が発見されるまで放置されるため、放置した期間、季節によって変動はしますが、遺体の腐敗が始まり、死臭や害虫が発生します。
また悲しいことに、孤独死よりも状況の悪い孤立死も増えています。孤立死とは、社会的に孤立した方が、孤独死をしたケースのことを指します。つまり、社会的に孤立した状態で誰にも看取られることなく一人で亡くなるため、誰も気が付くことができず、発見が遅れ、孤独死よりも遺体の状態が悪化する傾向があります。
このように孤独死とは年齢に関係なく起き、死臭や害虫などの問題を引き起こしてしまうものです。
では次に、孤独死後清掃しないとどうなるのか解説します。
ここでは「孤独死が発覚した後、清掃をしないで放置した場合」の例を紹介します。
孤独死が発見された後は、事件性がないか警察が確認するため、遺体が放置され続けることはありません。ただ、遺体がなくとも部屋に染み付いた死臭はなかなか消えません。このようなにおいを放置すると部屋から漏れ出し、近隣住民の洗濯干しの迷惑や近隣住民が庭に出られないなどの問題が発生します。
遺体の存在や死臭によって大繁殖した害虫は、駆除しない限りそこにとどまり続けます。そして害虫は孤独死の起きた部屋だけでなく、近隣住民の家や部屋に出没します。アパートなどの集合住宅であれば一棟全体に被害が及ぶため、より多くの方に被害が出ます。
清掃しなければにおいは壁や床の奥深くに染み込み、いつまでも悪臭を出し続けます。また、害虫の大量繁殖は衛生面にも被害を及ぼします。においと害虫の問題は部屋や家を人が住めない環境に変えてしまいます。
孤独死した部屋や家を清掃せずに放置することは、部屋や家の価値を落とす行為でもあります。なぜなら、害虫によって部屋に傷などがつく、汚染される、死臭が部屋や家の骨組みにまで染み込むといった問題などが発生するため、大補修が必要になるからです。
賃貸である場合、清掃しないことで損害賠償を受ける可能性もあります。基本的に孤独死は自殺でなければ賃貸契約上、規約違反となることはありません。ただ、特殊清掃ができる状態で相続人や保証人が特殊清掃を怠ることは、近隣住民への迷惑だけでなく、部屋そのものにダメージを与える行為と見なされかねないため、損害賠償を請求されることがあります。
このように孤独死が発覚した後、清掃しないことは、自身への被害だけでなく、近隣住民への迷惑、損害賠償などの可能性も秘めているのです。
ただ、孤独死発覚後の対応が明確でないことから、清掃が後回しになり、清掃しない方もいるはずです。
この章ではそんな悩みを解消できるよう、孤独死発覚後の対応を紹介します。
孤独死が発覚したら葬儀を行わなくてはなりません。そのため、まずは葬儀方法と葬儀社を決めるようにしましょう。
警察による検視で事件性がないと判断されれば、死体検案書が作成されます。その死体検案書を役所に持っていくと、死亡届の提出が可能になります。またその際に、火葬、埋葬許可証の申請も進められます。
先の章で触れた、死臭の問題や害虫、衛生面などの問題に対応します。特殊清掃と呼ばれ、状況によっては高度な機材と知識を必要とします。
相続の手続きも進める必要があります。もし、故人様が借金を抱えていた場合は相続人が借金を引き継ぎますので、相続放棄などを親族一同で検討する必要があります。
他にも、年金をもらっている場合は年金受給の解約手続きなどを進める必要がありますが、早急に進める必要があるのは上記の葬儀、手続き、清掃、相続の4点です。
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先の章で紹介した4つのことを並行して進めるのは、非常に困難であることがお分かりいただけたかと思います。そのため、たとえ自力で特殊清掃を進める技術を持っていても、全体の作業量と早急な対応の必要性から、特殊清掃業者に依頼するのが賢明です。
特殊清掃業者への依頼方法は、基本的に早急に対応してくれるところから選択することになるとは思いますが、ウェブ上から業者を探し依頼するのが一般的です。
ただ、業者の中には悪徳業者や経験が浅く、適切な清掃技術を持たない業者もいるので気を付けましょう。
一般的な相場は間取りごとで異なりますが基本的に「1R 60,000円~」と言われています。この金額で、脱臭や消毒、害虫駆除などを行ってくれます。ただ、特殊清掃が終わっても、故人様の遺品を整理する必要があるので、その整理もまとめてお願いする場合はさらに費用はかさみます。
そして、基本的にこの特殊清掃費用を負担するのは、連帯保証人、故人様の法定相続人、部屋の所有者という順に支払いの義務が生じます。
では最後に、このような悲劇を引き起こさないために、孤独死の対策例を紹介します。
どんな方でも定期的に連絡を取ることができれば日頃の様子から、元気であるか、調子が悪いのか確認がとれます。
一人暮らしである限り、孤独死の可能性を0にはできません。そのため、もし一人暮らしの高齢者であれば、施設への入居を考えてもらいましょう。施設であれば、危篤状態になったときにすぐに気が付いてもらえます。
郵便局や水道の検診などは、定期的にすべての家を訪問するサービスであるため、見守りサービスを実施しているところがあります。ポストに郵便がたまっているなどの様子がおかしい場合はすぐに知らせてくれます。
見守り家電と呼ばれる家電を使うことで、遠くに住む親族に通知が行きます。煩わしい連絡を取らずに安否を伝えることができます。ポットなどがその代表です。
親族以外に安否を心配してくれる方を持つことも大切です。一人暮らしであると、防犯面から近隣の方と交流を持つのが怖いという方もいるかもしれませんが、お隣さんや近くの住民と良い交流を持っていれば、何かあった時すぐに気が付いてもらえます。
孤独死を防ぐことからは少し脱線してしまうのですが、孤独死保険の加入も良い方法です。孤独死によって起きた清掃費用などを負担してもらうことができるため、金額的な負担を軽減できます。孤独死の危険のある方も周りの方も精神的負担を軽くできるはずです。
孤独死は死臭や害虫などの問題を引き起こすため、清掃しないことは非常に多くの弊害をもたらし、最終的には損害賠償まで請求されてしまうこともあります。そのため、放置することは決してしないでください。ただ、清掃には業者を利用する必要があり、金銭的負担が心配な方は、孤独死保険への加入や、相続放棄などの方法がありますので、放置という選択ではなく、他の方法を検討してみてください。
また、このような悲劇的な事態を引き起こさないことがなによりも重要ですので、孤独死の心配のある方が身内にいる場合はしっかりと対策するようにしましょう。
お読みいただきありがとうございました。