特殊清掃という言葉を聞いたことがあっても、具体的に「特殊清掃とは実際に何するの」と詳しい内容をご存じない方も多いのではないでしょうか。今回はそんな特殊清掃の基礎知識から、特殊清掃業者の仕事内容、依頼する際の選び方など、特殊清掃の基本について紹介いたします。
まず始めに、特殊清掃について紹介します。
特殊清掃とは、一般家庭の清掃では落とすことができない汚れやにおいなどに対応する清掃のことです。孤独死などで血液が部屋に付着している場合や、ゴミ屋敷などでにおいが壁にしみこんでいる場合などの、汚れやにおいの除去が当てはまります。
そのため、家庭用の掃除機やワイパーなどで落とすことはしません。特殊な機材や薬剤を使用し落としていきます。
そのような特殊な機材や薬剤の使用経験のある業者のことを、特殊清掃業者と呼びます。
次に、主に特殊清掃が必要になるケースを紹介します。
特殊清掃が一番必要とされるケースです。その理由は遺体の存在です。亡くなった遺体が短期間でも放置されれば、季節や環境次第ではありますが壁や床に血液や体液を染み込ませたり、ハエなどの害虫を繁殖させたり、死臭の問題を発生させたりなどあらゆる問題をもたらします。また、故人様の死亡原因が不明な場合や何らかの感染症が疑われる場合は、消毒や除菌が必要になります。特殊清掃はこれらすべての作業を行います。
ゴミ屋敷化している部屋は、ゴミの種類によって状況は変わりますが、大半の場合ゴミにより湿度が上がり、カビが発生しています。ゴミの除去と脱臭だけでなく、カビの除去も併せて行う際は、特殊清掃が必要です。
犬屋敷、猫屋敷と呼ばれる、家で犬猫を放し飼いにしている家は、動物の糞尿がいたるところに放置されています。そのため、糞尿からハエなどが発生したり、カビが生えたり、ウイルスの温床となっています。そのため、特殊清掃が必要になります。
水害や火事のあった部屋では、壁を張り替えてにおいを除去する必要があります。そのため、特殊清掃が必要になります。
このように特殊清掃が必要になるケースは、脱臭や壁や床の張替え、壁や床に染み込んだ汚れの除去などの特殊な清掃が必要とされるケースです。
では次に、特殊清掃では具体的に何する必要があるのか紹介します。
ゴミ屋敷のゴミや、孤独死（孤立死）現場の血液や体液の付着した品物や汚れを落とします。また、ゴミによってカビが発生している場合はカビの除去も行います。
孤独死やゴミ屋敷の場合は換気してしまうと、悪臭が近隣一帯に広がり、大きな被害を及ぼしてしまいます。そのため、閉め切った状態で脱臭します。
付着した汚れやにおいが壁や床の奥深くまで染み込んでいる場合は、解体工事が必要になります。部屋の汚染された壁や床を取り除き、張り替えます。
害虫が発生している場合は、外に害虫を逃がさないよう、部屋内で駆除していきます。また、害虫が近隣へ逃げ出していることが確認される場合は、これ以上広範囲にいきわたらないように対策します。
今後、特殊清掃の必要な部屋で自分や他人が快適かつ安心して過ごせるよう、ウイルスや感染症の危険性をゼロにするために、消毒や除菌を行います。部屋全体に散布していきます。
特殊清掃では不用品や遺品の処理も並行して行う場合があります。ゴミ屋敷の場合は汚れて不要になった品物の処理、孤独死（孤立死）の場合は遺品の処理です。また、処分に抵抗のある品物はリサイクルやリユース、供養（遺品整理のみ）などのお手伝いもします。
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では次に、なぜ特殊清掃の必要な状況が発生した際は、業者に頼むことがおすすめなのでしょうか。
この章ではなぜ特殊清掃は業者に頼むべきなのかを紹介します。
特殊清掃は血液や体液の染み込んだ壁や床の張替えや、部屋を閉め切ったままでの脱臭など特別な機材や技術を必要とする工程がいくつも存在します。さらに、その工程は一つだけではなく、孤独死（孤立死）であれば張替えと脱臭、ゴミ屋敷では脱臭とカビの除去といったように複数同時に発生します。そのため、少しの技術や機材があっても全てを賄うことができないため、業者依頼をするべきなのです。
孤独死の場合だけでなく、ゴミ屋敷の場合も犬屋敷、猫屋敷の場合も生ゴミや犬猫の糞尿からウイルスが発生している危険性があります。そのため、防護服を正しく着用して、衛生面に細心の注意を払って作業を進めなくてはなりません。つまり、防護服の用意と感染症への対策方法を深く知った人材が必要です。
自力での特殊清掃がうまくいかないと、においなどの問題が近隣住民に飛び火します。業者であれば、経験があるため、失敗の可能性はほぼありませんが、自力かつ初めての作業となると高確率で失敗する可能性があります。
孤独死（孤立死）の起きた現場では、遺体はなくとも故人様がどこで亡くなったかが壁や床の状況からはっきりと分かります。そのため、親族の方が清掃をすると、故人様のことを思い出してしまい、精神的に参ってしまうことがあります。また、ゴミ屋敷では片付けられない自分への自責の念などが沸き起こってしまうかもしれません。業者に依頼すれば、そのような心理面への負担は一切ありません。
このような理由から特殊清掃は、自力で進めるより業者に依頼するほうが良いと言われているのです。
特殊清掃が何するかと業者依頼のメリットが分かったところで、最後に業者依頼に失敗しないための、業者の選び方を紹介します。
まず、「業者依頼に失敗するとはどういうこと？」と思った方もいるかもしれません。簡単に説明すると、業者は国や自治体が運営しているものではなく、ほとんどが民間企業です。そのため、業者ごとで作業内容に大きな差が存在します。つまり、経験の低い業者に頼んでしまうと、においが残ったまま、においが後から発生してくるといった問題が起きることがあります。そのため、業者選びは慎重に進める必要があるのです。
先ほど説明した通り、業者の経験値は業者ごとで異なります。そのため、業者の経験値を測る必要があります。測り方は基本的に運営年数を調べるのがおすすめです。一番古い口コミの検索や、HPの開設時期などを調べましょう。大まかな業者の運営年数を調べることができます。
また、作業見積もりの手続きがスムーズかどうかなどで見極めるのが良いでしょう。
大半の特殊清掃の必要なケースでは不用品や遺品整理が発生しています。そのため、不用品回収、遺品整理などを行うための廃棄物運搬許可を持っているか確認しましょう。持っていなくても、他の業者と連携していれば運搬ができるので、併せて確認するのが良いでしょう。
特殊清掃業者の中にも、経験の浅さ以上に問題のある悪徳業者がいます。悪徳業者は特殊清掃時が緊急時であるということを把握しているため、その状況にかこつけて高額請求を行います。例えば、安く見積もりをして支払いの際に大きく値上げをするといった方法です。そのため、見積もりは必ず明確かどうか確認し、契約前に問題点はないか見極めしましょう。
これらの選び方を守れば、悪徳業者に引っかからず、経験の豊富な特殊清掃業者に依頼できるはずです。
特殊清掃が必要になるケースは人生何度も訪れるものではないため、何するか分からない方も多いはずです。ただ、もしそのような事態に直面した時に「何するか分からなくなってしまい、何もできない」とならないように、事前に知識を蓄えておきましょう。当コラムではさらに詳しい特殊清掃の内容も掲載していますので、良ければ参考にしてみてください。
お読みいただきありがとうございました。
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