特殊清掃の必要な現場は常に害虫と隣り合わせです。「いつのまにか発生しており、家中が害虫だらけ」という場合も存在します。
そして、害虫は見た目の不快感だけでなく病原菌やウイルスを媒介させるため、発生はできる限り防ぎたいものです。
今回はそんな特殊清掃と害虫の関係性と、害虫の駆除方法を紹介いたします。
まずはじめに害虫が頻繁に発生する、特殊清掃現場を紹介します。
孤独死や孤立死をした現場は遺体が放置されています。ハエなどの害虫は遺体に卵を産み付けます。その卵がかえればウジとなり、遺体にウジが発生することになります。そして、ウジが成虫となれば部屋中でハエが飛び回ります。
ゴミ屋敷は隠れる場所と餌が豊富にあるため、害虫にとってはオアシスのような場所です。ハエなどの飛ぶ害虫だけでなく、床を這う害虫も多く生息しています。また生ゴミを放置していれば、その腐敗臭に呼び寄せられ数多くの害虫が集まってきます。
空き家とは、きちんと管理されていない家のことです。空き家は害虫にとって天敵である人間の清掃が十分にいきわたっておらず、害虫が発生しやすくなっています。また、空き家にはゴミを不法投棄する方もおり、そのゴミを餌として害虫が繁殖してしまうこともあります。
では、次にどんな害虫が発生するのでしょうか。
代表的な害虫です。ウジとはハエの幼虫のことで、ハエの卵からかえり、さなぎになるまでの期間の姿です。卵は、動物の死骸や腐った食べ物、汚物などに産み付けられるため、特殊清掃の必要な現場では遺体や生ゴミなどに発生しています。また、ウジが大量にわいている状況はハエがたくさんの卵を産み付けた後の状態であるため、すでに大繁殖していると考えても良いでしょう。
ゴキブリは雑食かつ狭い隙間に入ることができるため、特殊清掃現場でなくても見かけられます。ただ、ゴミ屋敷や空き家などのほうが一般的な住居よりも隠れる場所が多く、快適に暮らせるのは明白です。多くの仲間を引き寄せてしまう糞をすれば、多くのゴキブリが住み着いてしまいます。
あまり聞きなじみのない害虫ですが、ゴミ屋敷などでよく見られる害虫です。その理由はジメジメとした環境を好むからです。閉め切られて湿度の上がったゴミ屋敷や、雨期の空き家などで見つかります。また、チャタテムシが大繁殖すれば、人間を刺し、かゆみを引き起こすツメダニが発生します。
ダニはすごく小さいため、目視するのは難しいのですが、ゴミ屋敷など清掃されておらず不衛生な場所では大量に発生します。また、湿度が高い場所を好むため、閉め切られたゴミ屋敷では大繁殖していると言えるでしょう。
動物の死骸を食べる虫です。この虫は人の遺体などではなく、動物の死骸を食べ、分解する役目を持つ虫です。そのため、ゴミ屋敷に動物の糞や死骸があった場合(犬屋敷、猫屋敷)などで見つかります。
では、これらの害虫が発生するとどのような被害が起きるのでしょうか。
どの害虫にも共通して言えるのは、繁殖力が高いという点です。ハエなどは一度に50~150個の卵を産み、4~5日で成虫となるためあっという間に増えます。同じように他の害虫も寿命が短く、短いスパンでたくさんの卵を産み付けるため、天敵がおらず、餌が豊富なゴミ屋敷などでは大繁殖してしまいます。
孤立死した現場が数えきれないほどのハエのいる現場になってしまうのは、この強い繁殖力が一つの原因です。
害虫の多くは卵を産み付けたり、餌とするものが不衛生なものであるため、病原菌やウイルスを伝播する可能性が高いです。例えば、ハエは遺体に産卵するため、その故人様の死因が悪性の病原菌やウイルスであった場合は、病原菌やウイルスを持ったハエが大量に飛び回る可能性があります。
また、ゴキブリなども床を這いまわり、不衛生なものの近くで生活をし、仲間の糞を食べたりするため、病原菌やウイルスを媒介させる虫です。そんな虫とあやまって触れてしまったり、叩き潰した時の残骸が体内に入ってしまった場合は病原菌やウイルスに感染するかもしれません。
そして、そのような害虫は特殊清掃の必要な現場(部屋)だけで活動することはありません。集合住宅であれば、一棟全体を活動場所とするため、近隣住民の部屋などに出没します。日頃から清潔を維持していても、病原菌やウイルスを持った害虫が特殊清掃の必要な部屋のせいでやってくるのです。
特殊清掃が必要な場面ではあまり見かけない害虫ではありますが、害虫の発生は建物自体への被害を及ぼすことがあります。シロアリなどの害虫は家を食害するため、家そのものがダメになってしまうことがあります。
害虫は遺体に卵を産み付けるため、ご遺体がご遺族様にとっては目を背けたくなる状況になることもあります。また、ゴミ屋敷などで大切な実家の壁や床に卵が産みつけられている状況も耐え難いものでしょう。そのため、ご遺族様や親族様などに大きな心の傷ができてしまう可能性もあります。
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では次にこれらの害虫の駆除方法を紹介します。
駆除時に注意したいことは、部屋を開け放ってしまうことです。開け放てば、たくさんの害虫が外に逃げ出してしまい、近隣住民に多大な迷惑が掛かります。そのため、閉め切った状態で駆除するのが鉄則です。また、どの害虫も繁殖力の高さから、放置してしまうと数が倍増していくため、見つけたらすぐに対応することが重要です。
基本的な駆除方法はガス状の殺虫剤を噴霧することで、害虫の駆除を行います。ただ、ゴミ屋敷に残されている生ゴミや、孤独死(孤立死)の起きた現場の遺体や体液など、害虫が発生した原因の適切な処理も重要です。害虫がいなくなっても原因が残されたままではまた害虫が繁殖してしまいます。
もし、孤独死(孤立死)などにより体液などが部屋の床や壁にしみこんでいる場合は張替えが必要です。
つまり、駆除を自力で進める場合は、まずは害虫を外に逃がさないようにし、発生原因となっているものを処理する必要があります。もし体液などのしみこみがあり、張替えが必要とされる場合は、自力で進めるのは技術的な面を考えると困難です。特殊清掃業者に依頼するのがおすすめです。
では、どうすれば害虫を発生させないようにすることができるのでしょうか。
最後に害虫を発生させないための方法を紹介します。
発生させないようにさせるためには、第1章の特殊清掃が必要になる状況を作り出さないことです。
ただ、孤独死や孤立死を100%完全に防ぐことはできないため、もし起きた場合すぐに気が付ける(放置をしない)状況を作っておくことが重要です。少しでも早く気が付ける体制を作りましょう。
またゴミ屋敷はがむしゃらに片付ければよいという訳ではありません。大半のゴミ屋敷住民は心理的問題を抱えていることが多いため、その心理的問題を解決することが先決となります。
最後に、空き家の場合は家も放置すれば骨組みがもろくなったり、腐ったりします。そのため、できる限り頻繁に確認するようにしましょう。
特殊清掃の必要な現場では、不衛生な環境などの理由で害虫が発生します。そのため、特殊清掃が必要だが害虫がいないといったケースは珍しく、ほぼ起こり得ないといえるでしょう。
できる限り特殊清掃の必要な場面を作らない、起きてしまってもすぐに気が付け、悪化させない体制を作っておくことが何よりも重要です。また、ゴミ屋敷に住んでいる方は害虫による悪影響を周りに与えないためにも、片付けができるように努めましょう。
この記事で少しでも特殊清掃に関する害虫の知識が深まり、駆除への道しるべになることを祈っております。お読みいただきありがとうございました。