孤独死やゴミ屋敷などから発生する腐敗臭は簡単に取り除くことができないものです。また、放置すれば地域一帯に及ぶ強いにおいとなるため、早急な解決が必要とされます。
今回はそんな腐敗臭の取り除き方を紹介します。
腐敗臭とは読んで字のごとく、何かが腐ったようなにおいのことを指します。孤独死の放置によって引き起こされる遺体のにおいや、ゴミ屋敷の中で腐敗した生ゴミや排泄物のにおいなどがあげられます。
これらのにおいはとてもきつく、普通の人であれば吐き気をもよおしてしまうようなにおいと言われています。さらに、その臭気を発する腐敗したゴミや遺体などは害虫を呼び寄せ、増殖させます。
また、このにおいが部屋の一室で収まればよいのですが、基本的には漏れ出してしまいます。アパートの一室でこのような事態が起こると、アパート一棟全体で異臭騒ぎとなります。さらに、発生した害虫はアパート全体を住処とし、どれだけ掃除をしても害虫が出てしまう場合もあるかもしれません。
そして、腐敗臭は壁や床などにも染み込むケースがあるため、長期間腐敗臭を放置すると、壁や床の張替えが必要とされます。もしその家や部屋が賃貸であれば、賠償などを請求されてしまうことでしょう。
このように、近隣への迷惑や害虫問題、部屋へのダメージなどさまざまな弊害を引き起こすのが腐敗臭なのです。
腐敗臭は自力で消すことができるのでしょうか。
先に結論を言ってしまうと、基本的には自力で消臭はできません。
その理由を解説します。
腐敗臭のにおいの原因は遺体や放置され腐敗したゴミ、腐ったペットの排泄物などがあげられます。これらの原因を長期間放置すると、体液など液体状になったものが発生し、壁や床に染み込みます。染み込んだ壁や床はいつまでも臭気を出し続けるため、完全に部屋をきれいにしても解決することはありません。部屋そのものを解体し、壁や床そのものを張り替える必要があるのです。
また、においは吐き気をもよおすほど強いものであるため、市販の脱臭剤などでは取り除くことができません。専門の機材や薬剤が必要になります。もし専門的な機材や薬剤を手に入れられても、使い方などの注意事項などを正確に把握してから進めなければ危険です。腐敗臭の除去を検討している時は、緊急性を要している場合が大半であるため、一つひとつ使用用途を把握するのは現実的ではありません。
そして、健康面の危険性も伴います。腐敗臭が発生している場所は衛生的な場所ではありません。害虫などがわいている場所は感染症など、ウイルスのたまり場でもあります。さらに亡くなった方の死因や持病などによっては、感染症が媒介しているかもしれません。そのような状況下では健康面への危険が伴います。つまり、防護服や防護マスク、ゴーグルなど多くの備品が必要です。
このような理由から、基本的に自力で腐敗臭を消すのは現実的ではありません。
臭いが比較的軽い、染み込みが確認されず壁や床の張替えが必要ない(自力で壁や床の張替えができる場合を除く)、健康面の心配がない場合のみ自力で進められます。
このように自力での脱臭は困難であることが理解していただけたと思います。
では、どうして特殊清掃業者は簡単に消臭できるのでしょうか。特殊清掃業者の基本的な流れを紹介します。
まずは始めに、においの元を断定します。次ににおいの元とにおいの元によって汚れた品物(布団やカーペットなど)を片付けます。これらの品物はゴミ袋を二重にするなどにして、処分の際においが漏れないようにします。
においの元を中心に次亜塩素酸や二酸化塩素などを使い、除菌・消臭を行います。
オゾン脱臭機なども状況に合わせて使っていきます。
においの元が壁や床などと思われる場合は、解体工事をするために、部屋の物を片付けます。ゴミ屋敷であれば住民と相談しながら、一方遺品整理であれば遺族と相談しながら片付けていきます。残してほしい品物や探してほしい品物を伝えられた場合は、処分と並行しながら捜索します。
壁や床の張替えのための解体工事を行います。解体工事の際は床下の清掃も併せて進めます。また、解体後はリフォームやハウスクリーニングなども依頼者の希望があれば進めます。
このような流れで消臭を行います。
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では、次に業者依頼の際に迷わないよう、特殊清掃業者の選び方を紹介します。
選ぶ際に確認するべきポイントは3つあります。
特殊清掃が自力でできないことからも分かるように、技術、設備がなければ消臭はできません。そのため、経験の未熟な業者に頼んでしまうと、においが残るといったトラブルにつながりかねません。つまり、経験のある業者を選ぶようにしましょう。
経験の確認の仕方は、まずは何年経営しているのか確認しましょう。判断ができない業者は口コミサイトから一番古い口コミを調べれば、おおよその判断がつきます。次にホームページなどを探し、設備とスタッフを確認しましょう。最後に対応の際、内容があいまいではないか確認しましょう。
費用面を明確にできない業者は、悪徳業者の恐れがあります。腐敗臭のある現場は早急な対応が必要であるため、その状況につけ込みスピードだけを売りにして作業は適当な業者も存在します。そんな業者に依頼すれば、腐敗臭は残ったままお金だけ請求されるといった頼み損となってしまいます。騙されないようにするためには、見積もりなどを正確に提示してくれるかどうか確かめ、パック料金の場合は追加料金などがかからないか確認しましょう。
特殊清掃が必要な場面はナイーブな状況です。特殊清掃業者がそんな状況に適切に対応できるかも重要です。「不愛想に進めていただいても構わない」と思っていても、心に傷を抱え遺品整理が進められない場合もあります。そのような状況に寄り添ってくれる、分かってくれる業者は気持ちよく作業を任せられるはずです。また、作業後のアフターサポートなどにも対応していれば、数日経過したらまたにおいが発生してきたなどの問題にも対処してくれるため、対応面も確認するようにしましょう。
腐敗臭の除去は緊急を要するものであるため、早く対応してくれる業者が選択の大きなポイントになるかもしれませんが、上記のポイントも必ず確認するようにしましょう。においは消えたが不満が残る作業にならないようにしましょう。
では、最後に特殊清掃業者を依頼した際、事前にやっておくべきことを紹介します。
基本的には全て引き受けてくれますが、自らやっておくべきことがいくつか存在します。
孤独死などの場合であっても遺言書やエンディングノートなどが残されている可能性があります。遺言書があれば故人様の指示通りに動く必要があるため、一通り家や部屋を探しましょう。エンディングノートは指示通り動く必要はありませんが、できる限り要望通り進められるよう手配しましょう。
貴重品や保険証など重要な品物がどこにあるか確認しましょう。ゴミ屋敷の場合であると、業者が探してくれても見つからない場合もあるので、本当に重要な物はあらかじめ自分の手で探しておきましょう。
業者などに見られて恥ずかしいものや秘密にしておきたいものがある場合は、事前に確保して、業者に触れないようお願いしましょう。
腐敗臭は近隣住民に迷惑をかける面倒なものです。また、そのにおいが発生する状況を考えると、においの除去だけで済む場合はほぼなく、消毒や除菌、片付け、整理などさまざまな作業が必要です。早急にこれらのことをすべて頭に入れるのは非常に大変なことかもしれませんが、良い業者を見つけ、何とか切り抜けていきましょう。
この記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。