孤独死に直面した際、多くの方が遺体処理後の部屋の原状回復をどう進めれば良いか悩まれるのではないでしょうか。特殊清掃は業者への依頼が大半ではありますが、自分で進めることも状況が整えば可能です。
今回はそんな自分で特殊清掃を進める方法、注意点、そして業者依頼との違いを紹介していきます。
まず始めに、特殊清掃とはどのような作業であるか紹介します。
特殊清掃とは読んで字のごとく、通常の清掃では落とせない特殊な汚れや臭いの清掃のことです。特殊な汚れや臭いとは、孤独死などが起き部屋に死臭が染み付いた場合や、事件などで血液が付着している場合、自殺などで体液などが壁や床に染み込み、腐敗臭がする場合などがあげられます。このような特殊な状況の清掃を特殊清掃と呼びます。また、死臭や腐敗臭によって発生した害虫の駆除なども併せて行います。
では、特殊清掃を自分で行う場合はどのように進めればよいのでしょうか。
まず始めに、部屋の状況を確認します。ここで自分で進められるかどうか判断します。
自分で進めることができない場合は、壁や床まで体液や血液が染み込んでいる場合です。染み込んでいるといくら掃除をしてもその部屋から死臭や腐敗臭が消えることはありません。壁や床を張り替える必要があります。
そのため、まずは染み込みがないか確認します。もし染み込みが確認できた場合は壁や床の張替えつまり、解体工事をする必要があるので、業者依頼に変更しましょう。また、染み込みがなく、進められそうといった場合でも清掃対象の部屋が広すぎる場合や配管が完全に詰まっている場合も、自分で進めるのはあまり適していません。
まずは状況を確認し、自分で清掃できるかどうか見極めましょう。
自分でできる状況であった場合は事前準備に進みます。特殊清掃は死臭や腐敗臭などの強い臭いを消す必要があるので、専門の用具が必要です。
防護服や防護マスク、消毒に使う塩化ベンザルコニウムや安定化二酸化塩素、消臭のための次亜塩素酸、それを吹きかける噴霧器を用意します。また、臭いが付着した家具や生活用品を捨てるためのゴミ袋なども用意しましょう。
これらの品物をそろえるのが困難な方は、「自分でできる特殊清掃セット」などがネットで販売されていますので、特殊清掃セットを利用しましょう。一つひとつ購入する手間がなくなり、楽に進められるはずです。
準備が出来たら作業を開始します。
作業の内容は、
1.遺体によって汚れた品物の除去
2.殺虫、消毒
3.消臭
4.部屋の確認
5.再消臭
6.再確認(この段階でまだ臭いが残っている場合は、再消臭を繰り返します。)
の順で進めていきます。
ただ、購入した用具の使い方などに順序や待ち時間などの記載がある場合は、上記の順序ではなく、その方法に準じた方法で進めてください。
このように自分で特殊清掃することは可能です。ただ、自分で特殊清掃することには大きな危険が伴います。この章ではそんな特殊清掃の危険性について紹介します。
大半の特殊清掃は遺体があった場所の清掃を行います。遺体があったということは、人を死に至らしめた感染症の可能性も捨てきれません。もし、その感染症が自分自身にかかってしまえば取り返しがつきません。
また、孤独死などで遺体が放置されていたことにより、ウイルスが媒介されてしまうという可能性もあります。そのため、防護服やゴーグルなど万全の準備をして進める必要があります。
さらに、汚れたものの除去が適切に行われないと、近隣住民に感染症を広めてしまう可能性もあります。自分だけでなく、多くの人を危険にさらしてしまうかもしれません。
特殊清掃で遺体の運搬はありません。そのため、清掃中に遺体を見ることはないのですが、そこに遺体があったことは容易に想像できる状況です。つまり、特殊清掃する方が親や親族などの自分にとって大切な人であった場合、それに自分自身が耐えられるかも重要です。それに耐えられず、自責の念を持ってしまったり、耐え難い悲しみが起こる場合は、一生忘れられない精神的トラウマにもつながる可能性があります。
特殊清掃は「心身に影響が出る可能性のある作業」ということを忘れないようにしてください。
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このように自分で特殊清掃ができる場合は、家や部屋の解体が必要ではなく、精神状況にゆとりがある場合のみです。このような状況で進められる方は、入居者が孤独死し、清掃の必要を迫られている大家さんだけではないでしょうか。精神面を考えると、身内が孤独死などをし、特殊清掃が必要な場合は業者に任せるのが一番良い方法と思われます。
そのため、業者か自力でするかを選ぶなら、状況が比較的軽い場合の大家さんは自力、残りのケースは業者がおすすめです。
ただ、特殊清掃業者に依頼すると言っても、どのようなものなのか分からないという方もいると思います。そこで特殊清掃業者の基礎知識とメリットを紹介します。
特殊清掃業者とは殺菌、消毒、消臭だけでなく、臭いの染み込んだ壁や床の張替えも進めてくれる業者です。また、消臭はオゾン消臭器など、業者ならではの専門的な機械を使って行うため、自分で進めるより段違いなレベルで消臭ができます。
また、遺された遺品の整理や処分、供養なども請け負ってくれます。
依頼するメリットは
・壁や床の張替えができる
・専門的な器具の使用
・精神的苦痛を感じずに終わらせられる
の3点が大きなメリットです。
自力で進めるより費用はかさみますが、臭い漏れなどで近隣の方々に迷惑をかけることもないので、安心して元の状態に戻すことができます。
このように特殊清掃業者は清掃だけでなく、状況に合わせたサービスを請け負ってくれるところもあるため、一気に終わらせられます。
では最後に特殊清掃業者に依頼する際の注意点を紹介します。
注意点は3つあります。
ほとんどの特殊清掃業者は民間です。そのため、価格を自由に設定することができるため、高額請求や適当なサービスで金額を請求する悪徳業者も存在します。故人様を亡くした状況でそのような業者へ依頼してしまうのは、さらなる悲しみを引き起こします。そのため、電話対応などに違和感はないか、現場で見積もりを出してもらえるか、見積書に不備はないか、の3点は必ず確認してから契約するようにしましょう。また問題がなくても、スタッフの言動に不可解な点が見られた場合は他の業者へ相見積もりし、比較することも大切です。
特殊清掃が必要な現場は死臭や腐敗臭のする場所です。つまり放置すればするほど状況が悪化していきます。つまりいち早く進めてもらう必要があります。業者選びも重要ではありますが、できるだけ早く業者を選定し、作業してもらうことが大切です。
業者の作業を確認するために、立ち会うことがあります。その際は必ずマスクやゴーグルをして自分自身を守りましょう。感染症にかかるリスクを自分自身で少しでも減らしていく努力をすることは重要です。
自分での特殊清掃はできなくはありません。ただ、多くの場合で自分で進めるのは困難が伴います。状況をしっかり見定めたうえで判断するようにしてください。無理に特殊清掃をしたことで取り返しのつかない後悔を抱えては、悲しみがいつまでも消えないこともあるかもしれません。自分自身の状況と照らし合わせて、考えてください。
この記事で少しでも特殊清掃の知識が深まりましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。