近年、日本の少子高齢化問題により一人暮らしの高齢者が増え、孤独死が社会問題となっています。孤独死は発見が遅れるケースが多いため、すぐに遺体を処理できず、家や部屋に死臭が染みついたり、害虫がわいたりとさらなる被害を引き起こします。
今回はそんな孤独死における死臭の対処方法について解説します。
死臭とは、ご遺体が孤独死など誰にも気が付かれず数日間そのまま放置され、腐敗が始まると起きる現象です。そして、死臭が起きる原因の腐敗は、湿度が高ければ高いほど進行速度が早いため、周りの環境によって状況は変わります。つまり、ほんの一日で腐敗が始まることもあれば、長期間発生しないこともあります。さらに、死臭は故人様の体の状態(年齢や性別、体格)によっても変わります。
また、腐敗によるにおいは耐え難いものです。肉や魚を数日間放置したことで、腐敗臭が発生することがありますが、それが人の大きさ分あると考えていただけると、何となく想像できるのではないでしょうか。それほど、強烈なにおいです。
さらに、人間の死臭は体内の微生物がご遺体の有機物を分解することが原因で発生します。そして、分解により皮膚は形を保てなくなり、体液や血液が溢れ出します。液体なので部屋の物や壁、床などにしみこみやすく、油分が含まれていることから蒸発しにくい側面を持ち、消臭剤などでは簡単に取り除くことができません。
つまり、人間の死臭は状況によって発生速度も変化し、とても強烈なにおいでありつつ、簡単に取り除きにくいものなのです。
このように死臭は簡単に消えないものです。そのため、死臭が発生してしまうと多くの二次被害が発生します。
死臭は当然、故人様の家や部屋だけにはとどまりません。孤独死は、亡くなって数日間が経ち、死臭で判明するケースがあるほどです。そんな発覚の仕方をすれば、当然近隣住民まで死臭が及んでいるはずです。近隣住民の生活を脅かす死臭を完全に消臭し、アパートやマンションであれば、近隣住民の心のケアや補償もする必要があるかもしれません。
先述しましたが、長期間ご遺体が放置されると、体液や血液が部屋の物や壁や床にしみこみます。しみこんだ体液や血液は簡単に除去できないため、家や部屋に大きな損害を与えてしまいます。もし、大量のしみこみが確認され、特殊清掃業者などの力でも除去できない場合は、家そのものをリフォームする必要が出てくる場合もあります。
死臭により、ハエがご遺体に卵を産みウジが発生することがあります。季節状況によって、発生条件は変わりますが、基本的に長期間放置すれば自然に発生してしまいます。そのような害虫が増えれば、当然その一帯にはたくさんのコバエなどが発生し、不潔な状況となってしまい、近隣住民に大きな被害が及びます。
ここまで説明してきましたが、自力で死臭を消すことは可能なのでしょうか。
先に結論を言ってしまいますが、基本的には不可能です。
それは死臭が発生しているご遺体の多くは、体液や血液が壁や床までしみ込んでいるケースが大半だからです。そのため、死臭はしているが運よく壁や床にしみこんでいない場合のみ、自力で進められる可能性があると言えます。
ただ、自力で進める場合は多くの注意点も伴います。
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では、ここではそんな壁や床へのしみこみが確認されなかった場合、自力で進めるにはどうしたら良いのかを解説します。
故人様の持病が感染症であった可能性や、体液や血液には細菌が含まれていることから、感染症予防は必須です。そのために防護服と防護マスクを着用します。また、感染症予防でなくとも、死臭のにおいはとてもきついため、市販のマスクやマスクなしではとても作業はできません。
壁や床にしみこんでいなくても、部屋の物(布団やカーペットなど)にしみこんでいる場合はその品物を除去しなくてはなりません。しみこんでしまった物をゴミ袋に二重、三重と梱包して、においが完全に漏れないようにしましょう。また、この作業を大家さんなど親族以外の方が進める場合は、その品物を処分して良いか親族の方に確認を取る必要があります。取らないで進めると、器物破損罪に問われることがあります。
次に、飛び回るハエなどの殺虫を行いながら、消毒を行います。殺虫は市販の殺虫スプレーで構いませんが、消毒は塩化ベンザルコニウムや安定化二酸化塩素を使いましょう。ネットなどで購入できます。また、消毒の際は消毒する方の健康を守るためにも防護服、防護マスクを正しく着用し、薬品の取り扱いには十分気を付けましょう。
消臭は塩素系の消臭剤がおすすめです。ただここで注意してほしいのが、換気扇を回したり、窓を開けたりして空気を入れ替えるのは絶対に止めてください。近隣住民ににおいの被害を起こしてしまいます。現場でにおいを消すことを忘れないようにしましょう。
消臭まで進んだら、壁や床に本当にしみ込んでいないかを再度確認します。発覚が死臭による近隣住民の通報であれば、壁や床にしみこんでいる確率は非常に高いです。そのため、念入りに確認しましょう。
しみこんでいた場合は自力でにおいを取り除くことは不可能なため、特殊清掃業者やリフォーム業者などの力を借りる必要が出てきます。
もし、どこにもしみこんでおらず問題がなければ、においが消えるまで消臭作業を繰り返します。
・注意点
一番注意する必要があるのが感染症の危険です。特に故人様の死因や持病などが分からない場合は、体液や血液には絶対に直接触れないようにしましょう。感染症にかかってしまってからでは遅いので、必ず防護服、マスクを着用しましょう。
また、においを除去するうえで、広範囲に漏れ出してしまわないようにしなければなりません。漏れてしまえば、死臭の被害を受ける方が拡大してしまい、マンションやアパートでは近隣住民が生活できなくなってしまいます。
このように自力で進めるといっても、注意点や作業までの手間を考えると簡単ではありません。また、消臭剤や防護服など併せて購入すると、数万円かかるため、「安く済ませるために自力で行う」というのは現実的な方法ではないと言えるでしょう。
このように自力で進めるのは非常に困難であることがお判りいただけたと思います。
そのため、死臭を消すのには専門の業者、特殊清掃業者に依頼するのが一番良い方法と言えるでしょう。
ただ、特殊清掃業者の「依頼方法や業務内容などが良く分からない」という方もいるかと思います。
そこで最後の章では特殊清掃業者について解説します。
特殊清掃業者とは、においが残ってしまった家や部屋の消臭や消毒、清掃を行う業者のことを指します。つまり、今回の死臭の除去を専門とした業者のことです。
また、業者であるため自力ではとても用意できない「オゾン脱臭機」を使い、臭気成分を分解、除去していきます。また、何度も特殊清掃をした経験があるため、においの発生源の特定も素早く、簡単ににおいを取り除くことができます。
依頼方法は他の業者依頼と変わりません。ただ一つ異なることは、他業者への依頼と違って緊急性が非常に高いので、すぐに対応してもらえる業者を探す必要があります。なので、急を要する依頼にも対応できる業者を中心に探しましょう。ただ、急がなくてはいけないという焦りから後悔の残る依頼をしてしまわないよう、電話対応の良し悪しや見積書に問題はないかは必ず確認しておきましょう。
業務は先述した死臭の除去だけでなく、ハウスクリーニングやリフォームなども併せて進められる業者がほとんどです。そのため、完全にしみこんでしまい、死臭が取れなくなっても改善できます。また、遺品整理業務が行える場合もあり、清掃と並行して遺品の整理も進めることができます。
このように自力での死臭の除去はリスクや金額などから考えると簡単ではなく、業者依頼がもっとも簡単かつ安全な方法と言えるでしょう。
また死臭の問題を抱える時は、大切な故人様を失っている喪失感も引き起こされているはずです。多くの特殊清掃業者はお問い合わせ無料の業者が多いので、もし悩んでいる場合は相談してみるのもおすすめです。精神的にも参っている時だからこそ利用して、心の負担を軽くしてください。
少しでも、この記事で死臭のお悩みが解消出来たら幸いです。お読みいただきありがとうございます。