孤独死、あるいは事故死によってご遺体の発見が遅れてしまった場合、床や壁に染み込んだ血液や体液が腐敗化することによって悪臭が発生します。
この悪臭は市販の消臭剤では除去できないため、専門家の技術によって臭いの元から除去をする必要があります。
今回は現場に残される臭いの種類と、消臭方法についてご説明いたします。
孤独死、事故死現場に残留する臭いは死臭だけではありません。冷蔵庫や食品棚に放置された食品が腐敗した臭い、腐敗によって繁殖したカビの臭いなど、様々な悪臭が室内に混ざり合い、充満することによって、通常の消臭剤では消しきれない凄まじい悪臭が発生するのです。
腐敗臭は亡くなられた現場だけでなく、窓やドアの隙間から漏れ、共用スペースや近隣の住宅付近にも漂います。
そのため孤独死は悪臭に気付いた近隣住民の通報によって発見されることがあります。
さらにこの悪臭に引き寄せられて、ハエなどの害虫が室内で繁殖し、卵を産み付けることで害虫被害も発生します。このように悪臭が発生した部屋は第三者に被害を及ぼす恐れもありますので、被害が少ないうちに対処をしなければならないのです。
死臭とはご遺体が腐敗化することによって発生する臭いのことです。死臭の臭いを例えるのであれば、チーズや生ゴミが腐った臭いに近いといわれています。
微生物や細菌が体内のタンパク質を分解し、死臭の原因となるガスを発生させます。さらに死亡することによって全身の筋肉が緩みますので、体内から体液や糞尿が漏れ、悪臭を放ちます。
死臭は夏場であれば2~3日、冬場では5~7日程度で発生するといわれています。お風呂場やこたつの中など、腐敗化が進行しやすい場所で亡くなられた場合は冬場でもすぐに腐敗臭が発生する場合もあります。
死臭は衣服や体に付着するとなかなか消すことができません。そのため特殊清掃業者は現場で作業をする前に、防護服、防護ゴーグル、防毒マスクを着用します。マスクをしなければ悪臭を吸引して気分が悪くなってしまうだけでなく、室内で繁殖した細菌を吸引し感染病を発症する恐れがあるためです。
防護服や防護マスクを着用した特殊清掃業者は、まず臭いの原因となる汚物や生ゴミ、異臭が染み付いてしまった遺品を撤去します。そして殺虫、消毒作業を行い、壁紙や床板を剥がして臭いの元を直接撤去します。
現場に残された遺品には悪臭が染み付いています。ご遺体による被害が少ない場合は親族や相続人が遺品の分別を行い回収しても問題はありませんが、耐え難い死臭が染み付いて対処ができない場合は特殊清掃行者に撤去してもらいましょう。通常のゴミと同じようにゴミ収集場所に放置していると、悪臭によって害虫を引き寄せてしまいますので、強い悪臭を放つ物は業者に回収してもらうことをおすすめします。悪臭を吸収した遺品を撤去するだけでも、室内に充満する悪臭を軽減することができます。
家財を撤去した後は、床に落ちた細かいゴミの掃き掃除を行い、害虫駆除作業を行います。害虫は卵からふ化し、成虫になるスピードが速く、ウイルスや細菌を媒介するため消臭作業よりも先に対処します。
そして害虫をしっかりと駆除してから室内の除菌作業を行います。薬剤を散布し、死臭の原因となる細菌を死滅させることで、臭いの原因を取り除くことができます。
悪臭の原因となる血痕や体液を除去します。
まずは血液や体液が染み付いた壁紙や床板を剥がし、奥まで浸透しているかを確認します。
悪臭の原因を取り除いた後はオゾン脱臭機を使用し、さらに消臭を行います。
腐敗化が進行し、血液や体液が壁や床の奥まで浸透している場合は解体作業を行う必要があります。
表面の汚れを落とすだけでなく、内部に残った汚れを清掃しなければ完全に消臭することは不可能です。
壁紙を撤去して下地を清掃したり、畳やフローリングを剥がして床下の清掃を行います。
壁の下地には石膏ボードが使われていることが多いですが、この石膏ボードは臭いを吸収しやすいため新しいものと取り替えます。
臭いがきつくても解体ができない部分は、専用の塗料を塗って臭いを封じ込めるコーティング消臭作業を行います。
目に見えない部分の汚れを取り除いた後はオゾン脱臭機を使用し、室内に残る悪臭を消臭します。
オゾンは悪臭の原因となる気体と反応し、酸素に戻ろうとします。オゾンが分解したときに発生する酸素には強い酸化力があるため、悪臭が分解されるのです。
オゾンから発生した酸素は毒性がないため安全性が高く、人体に影響を及ぼしません。
室内の悪臭が強く一日で消臭しきれない場合は、日にちを分けて消臭作業が行われます。
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特殊清掃行者の消臭作業を依頼すると、35,000円以上の料金が掛かるといわれています。
しかし、被害の進行度、撤去する遺品やゴミの量によって料金は変動するため、業者のホームページに掲載されていた料金表通りの金額を請求されるとは限りません。
特殊清掃は一般的な清掃サービスよりも高額な費用が掛かります。
高価で洗浄力の強い薬品や清掃機器を使用するだけでなく、防護服やマスク、手袋、ブラシなど衛生上の問題のため使い捨てで使用する道具が必要になります。
さらに特殊清掃は高い技術を持ったスタッフが作業をしなければ被害が再発してしまう恐れがあるため、高い人件費が料金相場に反映されています。
このように特殊清掃は高い経費が掛かる作業のため、利用料金も高く設定されているのです。
清掃費用を抑えようと価格が安い特殊清掃業者に依頼すると、洗浄力が弱い薬剤のみで清掃が行われ、悪臭が再発し再び業者に依頼せざるを得なくなることもあります。
また、解体作業が必要になった場合でも、費用が高くなるからと金銭面を憂慮して利用を止めてしまうと臭いの元を除去することができず、結局業者に再度依頼して高額な料金を支払うことになるかもしれません。
業者に手直しを依頼すると、前回使用した薬剤を調べる段階から着手しなければならないため、さらに長い作業時間と高額な料金が必要になります。
必要のない料金を支払わないためにも、極端に安い業者の利用は避けましょう。
被害が少なく、悪臭も酷くない現場はご自身で消臭作業をすることもできますが、悪臭の再発を防ぐためにも業者に依頼することが望ましいです。
芳香剤や家庭用消臭剤を使用しても、壁や床に染み付いた死臭は除去できないことがほとんどです。時間が経てば目に見えない汚れから再び悪臭が発生します。
悪臭が充満した室内に足を踏み入れると、つい換気をしたくなりますが、窓を開けて悪臭を外に逃がそうとしてはいけません。消臭作業をしないまま窓を開けて換気を行うと悪臭が屋外に漏れ、近隣にお住まいの方へ被害を及ぼしてしまう可能性があります。
孤独死や事故死現場には死臭だけでなく生ゴミの腐敗臭、カビによる悪臭など様々な臭いが充満しており、対策をせずに足を踏み入れると気分が悪くなってしまうだけでなく、感染症を発症する恐れがあります。
現場に残された悪臭にはご自身だけで対処しようとせず、専門技術を持つ業者に依頼してください。専門機器や薬剤を使用し、被害が再発しないよう徹底的に消臭作業を行います。