遠く離れていた親族が亡くなった、貸していた部屋で人が亡くなったなど、孤独死に遭遇する理由はそれぞれです。そのような場合はどのように対応すればいいかほとんどの方は迷ってしまうのではないでしょうか。
当コラムでは、孤独死が発生した空き家をどのように片付け、どう対応すればいいかについてご紹介します。身近な方が孤独死で亡くなってしまう場合を想定し、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
孤独死の問題は年々深刻化しており、その数も増加しています。孤独死は高齢者だけではなく、働き盛りの20~50代であっても起こり得ます。
そもそもなぜ孤独死は増加しているのでしょうか。それは、単身者が増え、身内同士であっても関係が希薄になっていたり、近所付き合いがなくなってしまっていたり身辺に知り合いがいないため、誰にも気付かれず一人で臨終を迎える人が多くなっているからです。若い人の孤独死も同じで、元々患っていた持病が悪化し、休職から復帰できずに部屋に籠り、そのまま亡くなってしまうというような事例があります。
また、少子高齢化となった現代では単身者が今後さらに増加すると予想され、孤独死の発生も比例して増加すると考えられます。このような状況を踏まえると今後、孤独死に遭遇する確率が高くなることが分かります。孤独死に関する情報や対処方法の知識を少しでも得ておくと万一の場合に冷静な判断ができるようになりますので、決して他人事と思わず有益な情報として整理しておきましょう。
孤独死が発生してしまった空き家は売りに出すか、次の入居者を探すことを考えると思います。しかし、孤独死が発生してしまった物件の価値は下がります。一体どれくらい価値が下がるのか説明します。
孤独死が発生しても、賃貸と一軒家では価値の下がり幅は違います。どちらにしても価値は下がりますが、賃貸はそこまで下がりません。理由は、賃貸料金下げれば入居者は集うからです。
反対に一軒家の場合だと売却時の値段は3~5割ほど落ちます。そのため、家を残したまま売却するよりも解体して更地にしたほうが売却しやすいのです。なぜなら、人が亡くなった家にそのまま住むよりも更地で購入するほうが気持ちの面で抵抗感が緩和されるという心理的な部分が影響してくるからです。
この章では、一軒家の物件を例にご紹介します。
一般的に孤独死の発生した空き家は貰い手がありませんので、相続を放棄しても誰も引き取ってもらえず、国も引き取ってくれません。相続する、しないにかかわらず、どう対処すればいいかを考えていきましょう。
相続した場合にその物件で最初にするべきことは、特殊清掃です。併せて遺品整理もしなければいけません。また、そこに住むのであれば、維持費や修繕費がかかりますので、相続したのにそれに見合わない費用がかかることがあります。相続する前に一度、どれくらいの費用がかかるのか事前に調べておくといいでしょう。
住むか管理をしっかりと行うのであれば問題はありませんが、放置してしまうと特定空き家として認定されてしまい固定資産税の優遇措置を受けられなくなります。解体するにも費用がかかり、売却するにも条件によっては難しいのが現実です。
建物の相続を放棄しても、次の管理人(相続人)が現れない限りは建物の管理と解体の義務が残ります。それは誰かがもらってくれない限り続きます。先ほども述べましたが、孤独死が発生した物件は遺族や親族でも相続したいと思わないため基本的にもらい手はいません。そのため、相続を放棄したからといってそのまま放置してしまうと、台風などでトラブルが起きた場合は責任を問われます。売りに出す場合は相続を放棄する前に早急に片付けて解体するほうがいいでしょう。
もし管理責任までも放棄したいのであれば、相続財産管理人に国への帰属手続きを依頼する必要があります。正規の手続きを踏めば放棄できますが、相続財産管理人の選定に時間を要し、報酬に高額な費用がかかるため、依頼する場合はよく検討しましょう。
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孤独死が起きてしまった空き家はどのように対応すればいいのでしょうか。一軒家であれば売る、大家であれば貸し出すなど状況に応じて対処することが重要です。この章では、空き家の扱い方のアドバイスをいたします。
一軒家で孤独死が発生しても売却は可能です。しかし、事故物件としての扱いとなりますので、価値は下がってしまいます。価値の下落を少しでも抑えたい場合は、下記のことを参考にしてみてください。
・建物を解体し、更地にする
・孤独死の発生から年数をあけて売却する
事件や死亡から長時間経過していた孤独死が起きた物件を売却する場合は告知義務が生じます。建物を解体し更地にしても告知義務は残りますが、更地で売却するほうが価値の下落は抑えられます。また、更地にした場合でも孤独死の発生後すぐよりも年数をあけて売却するほうが価値は上がります。一般的な感覚として事故が風化していくためです。それぞれの状況によって売却のタイミングは異なりますが、売り出す時期によっても土地の価値は変動するため、不動産業者などに相談をしてプロの意見を参考にしましょう。
事故物件だから値段を下げる気持ちは分かりますが、あまりにも大幅に下げすぎると孤独死の状態がそこまでひどかったのかと想像をさせてしまいます。悪い印象を与えないように、値段を下げる際はあまり大幅に下げないほうがいいでしょう。また、事故物件であっても全く気にならない人もいるため、都心などの需要が高い場所であれば少し価格を下げるだけで入居者は集まります。
貸し出す前の清掃(特殊清掃)は自分で行うのではなく、プロの業者にしてもらうほうが信用を得ることができます。
孤独死と言っても様々な状況があります。事故死や発見までに長時間経過していた場合は自分で室内を清掃したり、片付けたりするのは避けましょう。特殊清掃は日常生活で行う清掃とは違い、死体の体液や血液、腐敗臭が染み付いた部屋を人が再び住めるレベルまで清掃することをいいます。
特殊清掃業者に任せるときれいに片付くだけではなく、賃貸や売りに出すときに素人が掃除・片付けをした場合とプロが清掃をした場合では、借り主や買い主が受ける安心感が全く異なります。
当コラムを運営している特殊清掃プログレスの特殊清掃費用を例に出すと、下記のようになります。
・1K 30,000円~
・1LDK 63,000円~
・2LDK 96,000円~
孤独死の発見時期や部屋の状態によって値段は変動します。
孤独死が発生した現場では、特殊清掃だけを行えばいいというわけではありません。例えば、部屋の中の遺品には体液や血液が付着していることもあるため、特殊清掃と併せて遺品整理を行える業者であればより効率的に作業が進められます。各種手続きに必要なものを特殊清掃前に取り出したいと誰もが思うはずですが、菌や害虫が蔓延し悪臭が漂う室内に立ち入るのは身体的にも非常に危険で、精神的な負担も負いかねません。特殊清掃業者の多くは清掃の枠にとどまらず、リフォームや解体作業を請け負っています。つまり、表面的な清掃だけでは対処できないほどの汚損が部屋や建物全体に浸透している割合が高いという事実を表しています。特殊清掃業者が遺品整理など清掃作業に付随する様々なサービスを提供しているのはこのような理由からであり、特殊清掃を依頼するときは自分が希望する作業に適宜対応してくれる業者かどうかしっかりと問い合わせて確認することが大切なのです。
また、解体工事後の土地の売買なども自社で請け負っている業者であれば孤独死のような事故物件の取り扱いにも精通しており、一括して請け負うことで費用面・時間面共に最小限に抑えられるなどのメリットもあります。
賃貸物件の大家の方は、万一の場合に備えて予め特殊清掃業者を選定しておきましょう。日頃から孤独死が発生した場合の対応について話を聞きに行ったり、孤独死に関する講演会やフォーラムに参加したりして孤独死や特殊清掃に関する知識、情報を収集し、業者との関係づくりを行っておくことも重要です。
孤独死の発生した物件の取り扱いは大変です。相続に関しては前もって家族と話し合っておきましょう。また、孤独死の発見までに長時間経過した場合の物件は特殊清掃が必要となるため、なるべく早期発見できるように日頃から家族・親族内で対策を講じておくことが大切です。最近では、見守りセンターや見守りサービスといったサービスがありますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
当コラムが孤独死が発生した場合のご実家や賃貸物件の取り扱いについて考えるきっかけとなり、ご家族・ご親族様と話し合っていただければ非常に幸いです。