孤独死というのは、いつ身の回りに起きてもおかしくありません。もし身の回りに起きてしまったときのために、何をすべきか覚えておく方と落ち着いて行動できます。
当コラムでは、孤独死の現場を発見してしまったときの対処方法や、その後必要になる特殊清掃についてご紹介します。ぜひお役立てください。
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
孤独死の現場を発見したら、しなければいけないことがあります。まずは慌てず、落ち着いて対処しましょう。
孤独死の現場を見つけたら、最初にすることは警察への通報です。腐敗臭がするなど確実に亡くなっていることが分かる場合は警察に、生死が不明な場合は救急に連絡しましょう。
また、死因がはっきりしないうちは、警察が来るまでは現場に立ち入ってはいけません。死因が分からないということは他殺の可能性も捨てきれないため、犯人として疑われかねないからです。
警察から家族や親戚に連絡してくれます。管理会社や管理人の方は、故人の家族や親戚の連絡先を聞かれることもあります。まずは警察の指示に従いましょう。
警察の現場検証が終わったら、すぐに特殊清掃の業者に連絡をとりましょう。日が経つにつれて、現場の状況はさらに悪化します。まずは現場で見積もりをしてもらい、納得ができればすぐに契約しましょう。
孤独死の現場の場合は、たとえ身内であっても自分で掃除や後片付けを行おうとせず、必ず特殊清掃を専門とする業者に依頼するようにしてください。その理由は3つあります。
1つ目の理由としては、精神に悪影響を及ぼすからです。孤独死の現場は、故人がどのような状態で亡くなっていても、悲惨な現場です。家族や親戚の亡くなった現場を目の当たりにするというのは非常に辛く、精神的ショックを受けることは否めません。また、耐えられないほどの悪臭や、床や壁に染み付いた体液や血液を一度でも見たり嗅いだりすると、心に大きな痛手を負います。
2つ目の理由は、体に悪影響を及ぼすからです。清掃をしている最中に血液を触ってしまうとHIV感染したり、結核菌などの空気感染をすることがあります。他にも多くの菌が潜んでいるかもしれず、軽装備で挑むのは非常に危険なのです。
3つ目の理由は、清掃道具を揃えるための費用が高いからです。孤独死のあった部屋を清掃するためには、感染しないための防護服や特殊な清掃道具を揃える必要があります。しかし、それらの道具を揃えるだけでかなりの費用がかかりますし、知識や技術を一切持たない一般の人が専門的な道具を適切に使用するのは難しく、現実的ではありません。そのお金は特殊清掃業者への依頼料に回すほうが無難です。
業者に依頼するには相当の費用が必要になると思われている方も多いかもしれません。しかし、人が再び住めるように清掃するための時間、労力、お金、そして身体的・精神的疲労を考えると、決して高いものではありません。ぜひインターネットで特殊清掃業者を検索し、ホームページを開いて作業内容を確認してみてください。一般の人には到底手が付けられない清掃作業だとお分かりいただけるはずです。
孤独死が起きた現場を清掃するには特殊清掃業者に依頼するほうがいいと申し上げてきましたが、そもそも特殊清掃という言葉さえもご存知ではない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特殊清掃というのは、事故現場清掃業と呼ばれているもので、孤独死や事故、事件などが起きた部屋や現場を原状回復する特殊な清掃のことを指します。
特殊清掃では、孤独死などで長期間発見されず腐敗した遺体から特有の臭いや害虫が発生しているような場合に、専門の薬剤や機器を使って現場を清掃します。普段行っている掃除やハウスクリーニングでは孤独死などの起きた部屋の原状回復は行えません。床に染み付いた体液や血液、腐敗臭を完全に除去するには専用の薬剤を使用するのはもちろんのこと、清掃後に住まいとして活用するには床や壁紙の張り替えや室内のリフォームを行うなどの適切な処置が必要になることがあります。
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特殊清掃といっても、どのような作業を行ってくれるか気になると思います。当コラムを運営している特殊清掃プログレスで行っているサービスを例に、特殊清掃の主な作業内容をご紹介いたします。
孤独死の現場では、体液や汚物の洗浄をしなければなりません。床や壁に染み付いているため悪臭の原因になります。専用の洗剤を用いて完全に除去します。
血液や体液が染み込んでしまった家具などを運び出します。臭いも染み付いているため、しっかりと梱包してから搬出しねければ近隣住民に被害が及びます。臭いを密封するのは非常に難しいため、知識と技術が求められます。
孤独死の現場では、かなりの悪臭がします。また、血液や体液にも多くの菌が潜んでいるため、感染症などに気をつけなければいけません。特殊清掃用の機器を用いて消臭・消毒・除菌・殺菌を行います。
孤独死の現場は発見が遅れるとハエなどの害虫がわきます。害虫の駆除はもちろんのこと、発生源から徹底的に除去します。
特殊清掃に付随する様々なサービスを行っている業者はあります。次章でも紹介しておりますが、清掃だけを行う業者ではなく、依頼主側の要望に応えてくれる豊富なサービスを提供している業者を選ぶことが大切です。
特殊清掃と併せて特に必要となる作業は主に次の4点です。
・遺品整理
・リフォーム
・不動産の整理
・遺品の買取
これらに対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。
特殊清掃業者は、孤独死の増加に伴って増えています。中には詐欺まがいの業者もいますので、そのような業者に誤って依頼しないように、業者の選び方をまとめました。
また、不動産管理会社や管理人の方は孤独死や事故死の場合に備えて、特殊清掃業者にすぐ相談できるように準備しておきましょう。
実績豊富な業者を選びましょう。実績が多いということは数々の現場で経験を積んでいるということであり、現場状況に応じて適切に対応してくれる業者であるという指標にもなります。
孤独死の現場は多種多様なため、臨機応変に対応できる業者を選ぶことが肝心です。ホームページなどで実績や過去の実例が掲載されていることも多いため、しっかりと確認しておきましょう。
安い見積もりを提示して、作業後に高額な追加料金を請求してくる業者がいます。悪質な業者を見分けるコツは、見積書の内容です。作業内容をしっかりと説明した後に、内訳明示した分かりやすい見積書を提示してくれる業者を選びましょう。また、見積もり時に分からないことや疑問に思ったことを尋ねる際は、丁寧に応じてもらえるかを確認しておくのも忘れないようにしてください。
廃棄物は適切な方法で処分しなければいけません。そうでなければ不法投棄となり、法律に抵触していることになります。もし不法投棄している業者に頼んでしまった場合、依頼者も罪に問われることがありますので気をつけましょう。
また、廃棄物を処分するには許可証が必要です。不法投棄している業者かどうかの見分けになりますので、以下の許可証を持っているか確認しましょう。
・一般廃棄物収集運搬
・産業廃棄物収集運搬業許可
ほとんどの業者は許可証の有無をホームページに記載しています。もし記載されていなくても許可証を保持している業者と提携している場合がありますので、電話かメールで確認してみてもいいでしょう。
特殊清掃だけのサービスしかない業者はおすすめできません。孤独死の現場は、ただ清掃すればいいというわけではないからです。壁紙が血や汚物などで汚れていれば、張り替えるためにリフォームしなければいけませんし、故人の遺品も整理する必要があります。全てを一社に依頼できれば必要な作業ごとに業者を探す手間が省けて時間が短縮でき、一括で請け負ってくれることによって総合的に費用も抑えることができる場合もあります。
提供しているサービス内容を確認することは、特殊清掃業者を選ぶうえで非常に重要です。
孤独死という特殊な状況に遭遇することは現在では珍しいことではなく、身近なものになっています。いつ起きてもおかしくないため、まずすべきこと、そして特殊清掃について少しでも事前に知っておけば冷静に対処できます。
また、孤独死の増加に伴い特殊清掃業者も増加傾向にあり、正確な知識や技術を持たないまま業者を名乗る会社も残念ながら現れ始めています。清掃費の安さだけにとらわれず作業内容にも注視して、的確に対応してくれる業者を選ぶようにしてください。