孤独死・孤立死された遺体を放置したままの部屋には「特殊清掃」が必要になります。ただこうした現場を発見するのは難しく、管理人が駆け付けた頃にはすでに取り返しのつかない状況であることが多いのです。発覚のきっかけは悪臭や害虫など様々ですが、そうした些細な変化に気づかぬまま放置されるケースも存在します。
こうして原状回復が遅れてしまった建物は、事故物件として建物の価値を著しく損なうだけでなく、気持ちよく住まれていた近隣住民の方々に多大なる迷惑がかかります。
そこで今回は、特殊清掃が必要な現場から出るサインと解決までの流れを徹底解説します。お部屋主様やオーナー様が1日でも早く解決できるようお役に立てれば幸いです。
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
特殊清掃は「通常の清掃では取れない汚れの掃除」のことです。自殺・事件・事故・孤独死が起きた部屋の清掃作業や、ゴミ屋敷での作業もこれにあたります。
このような現場は汚れが手の届かない所に付着していたりと、並大抵の清掃ノウハウでは除去できません。そのため特殊清掃の専門業者に依頼をし、清掃を行うケースがほとんどです。
とはいえ、いつどんなときに特殊清掃を依頼すべきなのか、どこまできれいにできるのかがイメージできないという方も多いでしょう。次章以降で、特殊清掃の依頼から作業完了までの流れをみていきましょう。
まず、特殊清掃の現場はどのように発見されるのでしょうか。孤独死・孤立死を例にみていきましょう。
現場が2階以上にある場合、下の階に部屋の汚物が染み出して発覚することがあります。古い木造アパートなどで散見されますが、下の階の住人が心当たりのない悪臭や汚れが天井に染み出しているのを発見してようやく、孤独死が起きたと判ります。
この場合すでに天井の汚損は激しく、孤独死が起きた部屋と同時にこちらの部屋も特殊清掃を行うことになります。
「害虫が特定の部屋に向かって集まっていく」「共用部の通路や通気口に害虫の死骸が大量にある」こうした心当たりから、近くの部屋で孤独死が起きたと知ることがあります。
ハエやウジ、ゴキブリなどが日を追うごとに増えていたり、市販の忌避剤・殺虫剤の効果が現れないようならば、孤独死が起きていると考えられます。
臭いは最も判りやすいサインです。死体の臭いは独特で、喉の奥に突き刺すような刺激臭がします。臭いが部屋の外に漏れ出すのは、すでに腐敗がかなり進んでいる可能性が高いです。
悪臭は近隣住民からのクレームにも繋がります。発見したら一日でも早く対処しましょう。
玄関で亡くなられたご遺体の場合、体液がそのままドアの隙間から漏れ出していることがあります。集合住宅の場合、ドア付近を中心に共用廊下が汚れていたりすると、すぐに気づくことができます。
いずれも、死後数週間~数カ月が経過した現場で起こることです。これら以外にも、業者の火災点検や郵便配達など、ほんの些細なことがきっかけで発見されるケースもあります。
孤独死の現場を発見されたら、できるだけ早く次のアクションを起こしましょう。以下の手順で、作業開始までの手続きを進めていきます。とはいえ、大それたことをする必要はないのでご安心ください。
あなたが第一発見者である場合は、特殊清掃業者に連絡を入れる前に警察に現場検証を依頼しましょう。居住者の死因が殺人事件の可能性もあるため、死亡要因がはっきりしなければ、部屋に立ち入ることができないのです。
警察が到着したら、後は警察の指示に従ってください。現場検証が終わり次第、部屋の状態を確認し業者への作業依頼を行いましょう。
特殊清掃業者に電話やメールで作業見積もりの依頼をしましょう。近隣住民からのクレームを防ぐためにも、現場検証後すぐの連絡が好ましいです。孤独死の現場は緊急性が高く、相見積もりを取られる余裕がないことがほとんどです。
また特殊清掃は基本的に現地での見積もりですが、「大まかでいいから予算を比べたい」という方は、間取りや状況を伝えることで概算金額を提示できる業者もあります。現場検証が終わるまでに数社連絡を取られることをおすすめします。
作業開始までの流れは以上です。非常にシンプルですが、順番を間違えると大変なことになるので、必ず手順通りに進めてください。
ここまで完了すれば、あとは清掃担当者が現場に訪れるのを待つのみです。
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業者が到着したら、現場確認後に作業が始まります。
作業当日は業者に鍵の受け渡しを行いましょう。また故人様にご家族がいらっしゃる場合は、必要な遺品や貴重品が部屋にないか確認しましょう。現預金や印鑑などが紛失している場合は、捜索を依頼できます。
これらは特殊清掃業者が現場に来る時間に合わせて準備してください。
作業内容は設定された作業プランや当日の部屋の状況によって異なりますが、基本的に以下の流れで進められます。
まずは衛生環境を整えます。死後数週間以上経過された室内は細菌の温床です。感染症等防止のため、二酸化塩素などを用いた強力な消毒作業が行われます。これは居住者や作業員の身の安全を守るためでもあります。
特殊清掃の現場にある家財には腐敗臭や汚物が付着しています。これらの中から必要な遺品を探し出し、厳重に保管します。また不要な家財は適切な方法で処分を行います。これにより、重な遺品だと気づかず汚染からの回復貴作業中に破損させてしまうリスクを避けることができます。
汚染箇所の処理は最も重要な作業となります。ご遺体の腐敗が進むと体液や腐敗臭が床や壁に浸潤するため、根元から除去しなければなりません。専門知識を駆使し、どのような汚染がどの程度進んでいるのかを見極めます。
その上で、汚れに合わせた特殊な薬剤や清掃機器を用いて汚染を根元から除去します。汚染が深刻な場合は床材や壁紙の交換、解体等も実施されます。
汚染箇所を処理したら、仕上げの作業に取り掛かります。室内の消臭・脱臭をオゾン消臭器で行います。オゾンはその強い酸化力で、菌やウイルス、臭いの元を分解することができます。これが終了すれば、特殊清掃は完了となります。
その他、特殊清掃を依頼する際の注意点は以下の通りです。
特殊清掃は資格不要でも作業できますが、有資格者のスタッフがより安心できます。中でも「事件現場特殊清掃士」や「遺品整理士」は家財の分別や一流の作業ノウハウに長けた者のみが取得できる資格です。これらの資格を保有しているかもチェックしておきましょう。
特殊清掃にかかる費用は通常の清掃作業よりも高額なので、できるだけ安く利用されたいお気持ちはあるでしょう。しかしそこは「安かろう悪かろう」で、安ければ安いほどスキル不足なスタッフが作業に来たり、作業に追加料金を請求されたりするため注意が必要です。先程述べたように、時間に余裕があるうちに相見積もりを依頼しておけば安心です。
今回は、孤独死現場の発見から解決までを解説いたしました。孤独死現場を発見された際に焦ることのないよう、当記事を円滑な準備にご活用いただけますと幸いです。