賃貸物件の特殊清掃は迅速さがカギ。状況別の対処法をご紹介お役立ちコラム

2021.10.05

近年、高齢者のお一人暮らしや単身世帯の増加、家族や近隣住民と関りを持たない社会的孤立などが原因で、孤独死や事故死が年々増加傾向にあります。孤独死の現場ではご遺体の発見が遅れ、腐敗臭やご遺体から漏れ出た体液などで室内が汚染されることが考えられます。
近隣住民が異臭に気付き、発覚するといったケースも珍しくはありません。

汚染された室内を少しでも早く原状回復させることが、被害を最小限に抑えるカギとなります。そのためには一刻も早く、特殊清掃を行う必要があるのです。

しかし実際にそのような現場を発見してしまうと、どのように対応したらいいのか、特殊清掃業者はどのように選ぶべきなのか分からない方も多いかと思います。
当コラムでは状況に応じた対応方法や、特殊清掃業者を選ぶポイントまで詳しくご紹介していきます。

亡くなってから時間が経過し、腐敗が進んだご遺体からは腐敗臭が発生し、壁やフローリング、畳の下や換気扇にまで染み込んで取れなくなってしまいます。またご遺体から流れ出た体液は、ひどくなると下の階の天井にまで達し、階下の住民が異変に気付いて発見に至ることが多くあります。
特に夏場の高温多湿の環境下では、腐敗のスピードは急速に高まります。
部屋のダメージを少しでも減らすためには、一刻も早く特殊清掃を行うことがカギとなるのです。

とはいえ、ご自身で部屋に立入り清掃作業を始めるのは非常に危険です。
異臭がして住人の様子がおかしい、最近見かけていないとか、実際にご遺体を発見したときにはまず警察に連絡をしてください。警察が現場に到着するまでは、絶対に部屋に立ち入ったり部屋の片付けを行ったりしてはいけません。

特殊清掃と一般清掃の違い

特殊清掃と一般清掃の大きな違いは死後、時間が経過したご遺体から発する腐敗臭や、体液の痕跡が除去できるかどうかです。一般清掃やハウスクリーニングは、賃貸住宅であれば部屋の埃や水垢、経年劣化により傷んでしまった壁紙の張り替えなど、次の入居者のために行う清掃です。あくまでも一般的な清掃器具を使用し、清掃を行います。

一方で特殊清掃の目的は、部屋中に染み付いた腐敗臭や床下にまで染み込んだ体液の除去、そして現場となった部屋の原状回復が目的です。これは一般的な清掃では到底、除去できません。特殊な清掃機器と専用の薬品を使用し、特殊清掃に関する知識と技術を習得した専門業者のスタッフが清掃を行います。

親族が賃貸住宅で孤独死した場合

ご家族や親族が賃貸住宅で孤独死した場合、まずは室内の特殊清掃と遺品整理についてどう進めるか検討する必要があります。特殊清掃は、室内のダメージや悪臭がひどければひどいほど費用も高くなります。一刻も早く特殊清掃を行うことが必要です。
賃貸住宅の大家とどちらが主導で特殊清掃を行うか、費用はどうするか話し合いましょう。

特殊清掃と遺品整理が終われば、賃貸借契約の解除を行います。注意していただきたいのは、遺品整理を終え残された家財道具を全て搬出し、大家に引き渡すことができる状況になるまでは家賃が発生するということです。
賃貸借契約が解除されなければ、大家側も次の入居者に貸し出すことができませんので、できるだけ早く引き渡しを行うようにしましょう。

現状対応できない地域も一部ございます。
詳しくはお問い合わせください。

賃貸物件オーナーが孤独死を発見した場合

ご自身所有の賃貸物件で、孤独死が発生した場合は警察へ連絡したあとご遺族や連帯保証人へ一報を入れてください。ご入居者死亡の事実や特殊清掃が必要なこと、賃貸借契約の解除を進める必要がある旨を伝えましょう。

孤独死によって損傷した室内の原状回復費用をどちらがどれだけ負担するかについてもしっかりと協議する必要があります。ただし１点、注意しなければならないポイントがあります。ご遺族や連帯保証人も突然の出来事で、ひどく動揺しているケースも考えられます。連絡を行う際には事故物件となってしまったという理由で、彼らを責めるような発言は控えましょう。今後の協議に支障をきたす恐れもあります。ご遺族や連帯保証人の心中を察して接することが大事です。

特殊清掃を専門業者へ依頼するポイント

インターネットなどで検索しただけでも特殊清掃に対応できる業者は数多くあります。複数の業者が存在する中で、対応が良く失敗しない業者を選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。
中には悪質な業者も存在していますから、ポイントを確認し、十分注意して選ぶ必要があります。

特殊清掃の資格を保有しているか

「事件現場特殊清掃士」という資格をご存知でしょうか。
特殊清掃を行うために資格は必須ではありませんが、「事件現場特殊清掃士」は特殊清掃を行うための正しい知識やノウハウ、心構えを習得した者に与えられる資格です。
民間資格ではあるものの、特殊清掃のプロかどうか見分けるポイントとしては十分です。
資格があることで、安心して作業を任せることができます。

明確な料金提示と見積書の発行ができるか

業者との間で最も多いトラブルが、料金トラブルです。
まずは、見積書を書面で明確に提示してくれる業者を選ぶことが必須です。
口頭のみでしか料金を伝えてくれなかったり、概算のみしか提示してくれない業者には注意してください。現場で作業を終えてから、追加料金を請求されるというようなトラブルを引き起こす危険性があります。
複数の業者に相見積もりを取り、相場を確認することもおすすめです。

スタッフの対応が丁寧か

スタッフの対応が丁寧かどうかを確認することも、非常に重要です。
ある程度業者を絞り込めた状態で、電話などで実際に担当スタッフと話をしてみましょう。特殊清掃が必要になる状況は、人生の中で何回も起こることではありません。動揺したり、不明点が次々と出てくることがあるでしょう。
そのような状況にもしっかりと寄り添い、納得がいくまで丁寧に対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。

まとめ

近年増加傾向にある孤独死や事故死。そんな現場で必要になるのが、特殊清掃です。
特殊清掃が必要な状況では、汚染された室内を少しでも早く原状回復させることが被害を最小限に抑えるカギとなります。
特殊清掃は一般的な清掃やハウスクリーニングとは違い、特別な清掃機器や薬品を使用し、ご遺体から発する死臭や流れ出た体液を除去します。

親族が賃貸住宅で孤独死された場合、現場の原状回復と一刻も早く賃貸借契約を解除する必要があります。
ご自身が賃貸物件のオーナーで孤独死の現場を発見された場合は速やかにご遺族や連帯保証人に連絡を取り、特殊清掃などについて話し合いましょう。

特殊清掃を行ってくれる業者は数多く存在します。
業者を選ぶ際は、

・特殊清掃の資格を保有しているか
・明確な料金提示と見積書の発行ができるか
・スタッフの対応が丁寧か

この3つのポイントを確認し、迅速にしっかりと丁寧に対応してもらえる業者を選択しましょう。

この記事を執筆した人

株式会社プログレス
編集部 F・N

「身近な問題の解決を記事でサポートする」をモットーに、プログレス各種サイトのコラムを執筆中。
「もし自分が特殊清掃を必要とする立場になったら？」という視点を崩さず、わかりやすく心に刺さる情報を発信。