マンションやアパートの住人が事故や事件によって亡くなってしまった場合、部屋に残された残置物は遺族や保証人が処分する必要があります。
しかし、残置物を相続する人がいない場合は、賃貸物件のオーナーは非常に複雑な手続きを行い、高額な費用を支払って残置物を処分しなければいけません。
その時になって慌てないためにも、残置物の処分方法について知っておきましょう。
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
残置物とは、賃貸物件に入居者が退去、あるいは死亡したことによって室内に残された家具や家電のことです。
賃貸物件では元々部屋に備え付けられていたエアコンは残置物として扱わず、住人が買い足した家電や家具などを残置物として扱います。
その残置物の所有権は住人(借主)にあるため、勝手に処分できないことを、賃貸のオーナーさんは覚えておく必要があります。
賃貸物件の残置物に困らないために契約前にルールを決めておく、住人と連絡が取れる場合は撤去を依頼するのが対策になります。
しかし、住人が孤独死して、相続人と連絡が取れないなどの理由で残置物の処理に頭を抱える方も多いです。
残置物はオーナーの判断で勝手に処分をすることができません。
亡くなった方の相続人に該当する人か、保証人に該当する人へ処分を依頼する必要があります。
賃貸契約を結ぶときには、契約書に緊急連絡先や保証人の名義を記入します。
オーナーはその連絡先に問い合わせ、賃貸契約の解除や敷金の精算、残置物の処分方法などの相続手続きを進めることになります。
ところが、この相続手続きはすぐに終わらないことが多いです。相続人は残置物だけでなく、亡くなられた方の借金などのマイナスの財産も相続することになるため、相続人は把握しきれていない借金が残されていないか、相続放棄の期限が過ぎていないかを細かく慎重に調べる必要があるためです。
その間は残置物を処分することはできず、片付け前のお部屋は貸せないので実質空室が1部屋増えることを覚えておきましょう。
居住者に身寄りがない場合や、相続人全員が相続放棄するなど、相続人がいない場合、オーナーは相続財産管理人の申し立てを立てることができます。
相続財産管理人とは、亡くなられた方に相続人がいない場合や遺族より相続を放棄された場合に、遺産の調査や売却を行うことができる人のことをいいます。
この相続財産管理人は家庭裁判所の審判によって選任されます。相続財産管理人は相続人の代わりに家賃や管理費などの支払い、賃貸契約の解除、残置物の処分が行えます。
相続財産管理人を専任する手続きは非常に複雑であり、高い費用が発生するため、オーナーによっては身寄りの無い高齢者の入居を断ることがあるのです。
相続放棄をすると亡くなられた方の財産や管理責任を放棄できるため、残置物の処分をしなくて済みます。
しかし、財産の管理責任を放棄できるということは、財産を持ち帰る権利も放棄することになります。
オーナーさんは「相続放棄した人は残置物を整理できない」ことを覚えておきましょう。
相続放棄をした人が遺品を持ち帰ったり、処分したりした場合、相続放棄が受理されないことがあります。
また、自らの意思で相続放棄した場合、原則取り消すことができないため注意が必要です。
このルールを把握して相続人・保証人の方に連絡を取る際に事前に説明しておけば、後から混乱やトラブルが発生することを防ぐことができます。
ただし例外として、写真や手紙など、金銭的価値がない物は相続放棄をした人間が処分したり持ち帰ったりしても問題ありません。
プログレスは全国の
エリアで展開中!
現状対応できない地域も一部ございます。
詳しくはお問い合わせください。
賃貸物件の残置物の処理は迅速な作業が求められます。
次の家賃が発生する前に残置物を片付けて退去しなければ、借主は必要のない家賃を支払うことになり、オーナーは片付けられない部屋を持て余してしまうからです。
残置物の量が多く、短期間で片付けられそうにない場合は専門業者に依頼することがおすすめです。
衣服や書籍などのサイズが小さい品物は一般ゴミとして処分することで、少ない費用で簡単に捨てることができます。自治体の分別ルールに従い、細かく分別して処分するようにしましょう。
ペットボトルや空き缶、瓶などはスーパーマーケットなどに設置されている回収ボックスで処分することもできます。
また、ゴミ袋に入らないような大きな物でも、分解することで一般ゴミとして処分することができます。
プラスチック用のノコギリやはさみで分解することができますが、切断面で怪我をする恐れがありますので必ず軍手を着用するようにしてください。
自治体によっては引越し、大掃除などによって大量に排出された不用品はゴミ処理施設に持ち込む必要がある場合があります。
予約方法や持ち込み方法は自治体で詳細なルールが決まっている場合が多いため、きちんと確認してから行うようにしましょう。
また、コレクション品や価値がありそうな品がたくさんある場合は売却を検討するのも手です。
リサイクルショップなどに持ち込まなくても、訪問査定など家に居たままで売却できます。
売上金が手に入ることに加えて、不用品に再び活躍の場を与えることでリユース活動にも貢献できるなど、処分とは違ったメリットがあります。
専門業者に依頼するメリットは手軽さと安心です。
大量の残置物を処理場へ運ぶ手段がなく、体力にも自信がない場合でも、搬出から積み込みまですべての作業を依頼できるうえ、業者によっては撤去後にハウスクリーニングやリフォームを行い、すぐに部屋を貸し出せるように原状回復作業を行ってくれます。
また、経験豊富な業者なら過去の事例から最適な処分方法を判断してくれます。
所有している賃貸物件で孤独死が発生した場合は相続人への連絡などに追われて心身ともに疲れて最適な判断が出来なくなることも考えられます。
そんな時に専門知識を持ったスタッフは心強い味方となってくれるはずです。
相続先が決まっていない残置物の放置は、将来オーナーや遺族を困らせてしまいます。
残置物の処理を巡って訴訟が起こらないよう、もしものときを考えて生前から対処することが大切です。
また、賃貸物件のオーナーも残置物に関するトラブルに巻き込まれないように対策しておくことが大切です。
賃貸物件で孤独死が発生した場合は、費用面に関するトラブルが発生することが多いです。
例として住人が死亡したことによる家賃の未払いや、相続人が全員が相続放棄した場合は残置物を撤去する際の費用を誰が持つのかなどが挙げられます。
こうした残置物を巡るトラブルは「退去時の残置物の取り扱い」や「処分時の費用負担をどちらが行うか」を事前に決めておいて契約書に書いておくことが対策になります。
残置物の所有権は借主にありますが、契約内容に残置物に関する記載があった場合はそちらに従って対応できるため、オーナー側で処分しても問題ない場合もあります。
孤独死によって賃貸物件に放置された残置物は、相続人や保証人が処分を行います。
身寄りのない方が孤独死し、オーナーが自費で残置物を処分することを避けるために、賃貸契約時に連帯保証人の承認や保証会社の加入を必須にしている管理会社も増加しています。
お一人で賃貸物件に住んでいる知り合いや友人がいる場合は、残置物の処分についてオーナーと話し合うことを勧めてみてはいかがでしょうか。