今日、日本で問題視されている「超高齢化」。
日本人のおよそ4人に1人が高齢者と呼ばれる現代で問題となっているのが「孤独死」です。超高齢化に伴う単身世帯の増加や、心身的な事情により健康で文化的な自立生活ができない方々が陥ります。近年、そのような方は増加傾向にありますが、それらは本来救えるはずだった命なのかもしれません。身寄りのない方々が一体どのような助けを必要としており、私たちに何ができるのかを気づくことができれば、孤独死は減少するのではないでしょうか。
今回は、そのような孤独死の現状とその原因について紹介し、どうすれば各世帯で孤独死を未然に防止できるのか、対策を講じていきます。
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
そもそも孤独死とは一体何なのか、改めて実態を整理しておきましょう。
孤独死に法的な定義は存在せず、社会通念上「誰にも看取られずにご自宅で亡くなられること」と訳されます。警察では「変死」、行政では「孤立死」と扱われますが、一人で亡くなられること=孤独死という認識が一般的です。
日本における孤独死者数は年間約3万人といわれています。東京23区内を例にみても、1日あたり約8.5人が孤独死で亡くなられています。
孤独死の平均年齢は男女ともに60歳ですが、65歳以上の高齢単身者の死者数も増加しています。さらに、60歳未満の孤独死も約40%といわれており、深刻な社会問題となっています。
孤独死が起こる原因は多くの世帯に共通している特徴的なものです。単身世帯の増加がその一つですが、他には何があるのでしょうか。
企業の倒産やリストラによる失職がきっかけで経済的に困窮された結果、孤独死が起きてしまいます。特にお子様や専業主婦の奥様がいらっしゃるご家庭の場合、多大な金銭的苦痛による離婚で身寄りをなくされるケースがあります。
さらにこうした現状を「自分のせいだ」と思い込み、周囲の支援や生活相談を絶ち、世間との距離を大きくしてしまう方も、貧困による孤独死を迎えてしまうのです。
婚姻数の減少と孤独死者数の増加は相関関係にあるといわれています。男性の2~3人に1人、女性の3~4人に1人が未婚者であるという調査結果もあり、単身者世帯の増加による孤独死を誘発しています。
また今は夫婦でも、将来的に単身世帯になりうる世帯が増えていることも、孤独死が起こる原因となります。
パラサイトシングルとは「大人になっても親と同居し、生活面で親に依存し続ける単身者」のことです。結婚をして親元を離れたりせず、仕事でお金を稼いだりして社会とのかかわりを持っていない方はその可能性が高いです。40代前後の年齢に多いといわれており、生活能力が低いことが特徴です。
親御さんが亡くなられてから仕事や出会いを探すのが困難となるため、経済的・精神的に自立生活を営むことが難しくなり、その結果孤独死が起きてしまうのです。
孤独死を防ぐためには、自治体のサービスがおすすめです。全国的な孤独死の増加に伴い、市町村単位で孤独死防止のための様々な取り組みがされています。以下はその一例です。
一人暮らしの高齢者世帯へ人感センサーを配置し、緊急時の通報はもちろん、些細な相談や買い物の支援など、日常生活を24時間365日見守るシステムです。
これは全国的に導入事例が増加しており、単身高齢者の心の拠り所として孤独死防止に役立てられています。
民生委員は非常勤の地方公務員で、住民の相談に応じた援助や社会福祉の増進に努められています。近年テレビコマーシャルでも宣伝されており、その認知度が高まりつつあります。
民生委員による定期的な家庭訪問やマンツーマンの相談もまた、孤独死予防に役立てられています。
人口の少ない自治体などでは、高齢者のみ世帯や要援護者世帯など、孤独死のリスクが高い世帯を把握できるようマップを作成しています。こうしたケースは住民一人ひとりが互いの生活状況を把握しやすく、孤独死予防に大いに役立てられています。
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自治体以外にも、民間業者による画期的な取り組みもあります。
郵便や宅急便・新聞などの配達や、水道・ガスの検針に事業者がご自宅を訪れた際、居住者様の安否確認を行う取り組みです。
こうしたシステムは官民一体で実施されることが多く、秋田県大仙市では「地域安心見守り隊」として、民間事業者が異変を察知するなり官公庁の社会福祉課職員と24時間365日いつでも連絡できる体制が整えられています。
高齢者宅に訪問し健康食品等を無料配布する取り組みもあります。
例えば山形県米沢市では「愛の一声事業」として、高齢者宅に一軒ずつ乳酸飲料(ヤクルト)を支給することで安否確認がされていたり、同県村山市では「高齢者配色サービス事業」を推進しており、調理等が困難な単身世帯に週単位で食事の有料提供と安否確認が実施されていたりします。
孤独死の可能性があると判断された時点で、老人ホームなどの高齢者向け施設を利用されるのは賢明な判断です。常に誰かが見てくれている環境を作ることで、心身の健康状態の異変に素早く駆け付けることができます。
金銭的な負担はありますが、孤独死のリスクを考慮すればかなり効果的です。
こうした活用事例からは、コミュニケーションを密にとることがいかに大切かを学ぶことができます。それは見守りを行う自治体・民間事業者、地域住民の方々お一人おひとりの協力により、間接的であれ孤独死が起きる可能性を限りなくゼロに近づける必須条件です。
どれだけサポート体制が整っていたとしても、ご本人の健康状態によっては不測の事態が起こりかねません。
特にご高齢であるほど突然死のリスクも高く、持病や慢性的な障がいをお持ちの方へは小まめな健康管理が必要となります。
単身者がご自身で取り組めることとしては「バランスのとれた食事を毎日摂る」「規則正しい生活を送る」「適度に運動する」「朝起きて夜には就寝する」などがあります。ただし、もし身体の不調を感じたら我慢せずにすぐ病院へ行きましょう。
なお、単身世帯に対する健康相談を実施している専門機関が各自治体や民間業者で増えつつあります。食事管理や生活習慣病の予防法、寝たきり予防や心の健康相談まで幅広く承ることができますので、「いざとなったらここに相談しよう」と思える場所をなるべくお早めに探されてみることをおすすめします。
「孤独死はいつどこで起きるか分からないもの」「起きてからどうするか考えるもの」ではありません。正しい知識と周囲の方々との協力さえあれば、孤独死は未然に防ぐことができます。
これはできれば考えたくないことかもしれませんが、何かあってからでは遅いのです。
孤独死は超高齢化により今後確実に増えていきます。明日は我が身とまでは言いませんが、身近な身寄りのない方々をもしご存知でしたら、こうした支援の手を差し伸べてあげてください。
知識が無くても構いません。まずは状況を把握し、当記事を参考に適切な対処法を知ることから始めていきましょう。