もし特殊清掃を依頼するなら「信頼のできる業者に任せたい」と誰もがそう思うはずです。しかし、いざその時になったらゆっくりと検討している時間は無く、急いで現場の原状回復をしなければいけない場合がほとんどです。その時になって焦って悪質な業者に依頼してしまわないように、特殊清掃はどのようなところに依頼するのが良いのか、選び方や注意点を詳しくご紹介します。
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元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
最近よく耳にするようになってきた「特殊清掃」ですが、実際はどのようなものかご存知でしょうか。
特殊清掃とは通常のハウスクリーニングでは落としきれない汚れの除去、害虫の駆除、悪臭の消臭、除菌、感染予防を専用の機械や薬剤なども使用し行う作業のことです。主にゴミ屋敷の清掃や、病気・事故・事件などが原因で孤独死してしまい、発見が遅れてしまったようなケースでの部屋の原状回復のために行われます。
少子高齢化、核家族化の影響で近年、一人暮らしの高齢者が増加していますが、ひと昔前と比べ地域コミュニティは衰退しています。そのため一人暮らしの高齢者を見守る環境が整っておらず、孤独死する人が増えていて社会問題になっています。
また高齢化が進む中で認知症を患ったり、精神疾患による影響で片付けができず家がゴミ屋敷化することもあります。
こういった問題を解決するために特殊清掃の需要は年々高まっており、その技術も進歩しています。
実は特殊清掃に絶対必要な資格というのはここ数年前まではありませんでした。正確には平成28年6月に法律が新改正されましたが、履行期間が3年間あり令和元年6月に完全施行されたのです。特殊清掃時には悪臭やシミがひどい場合、解体工事を伴う作業になることが多々あり、そのため仕事を請け負うには各都道府県の知事、もしくは大臣から許可認定され、「解体届」や「解体許可」を持つ解体業者としての登録が必要になりました。
その他の資格としては絶対に必須という訳ではありませんが、特殊清掃を行うにあたって重要になる汚れや臭いに関する専門的な基礎知識、また清掃時に出た一般廃棄物の処分に関するものなどがいくつかあります。以下にそれぞれご紹介します。
廃棄物には「一般廃棄物」と「産業廃棄物」があります。事業活動に於いて生じた廃棄物を「産業廃棄物」といい、それ以外の廃棄物を「一般廃棄物」といいます。特殊清掃の現場は主に一般家庭になりますので、扱う廃棄物は「一般廃棄物」ということになります。これらを収集し運搬するのには、この許可証が必要になります。
事件現場特殊清掃センターが発行する民間資格です。「特殊清掃とは何か」「特殊清掃の基礎知識」「事例研究」などが学べます。受講は誰でも可能で、レポート提出期間は2ヵ月が目安となっています。実践練習などはなく、座学と問題集解答後の提出を行い、基準に達していれば認定されます。
一般社団法人遺品整理士認定協会が発行する民間資格です。事件現場特殊清掃センターと同じ団体が運営しています。「遺品整理とは何か」「遺品整理の基礎知識」「事例研究」などが学べます。こちらも受講は誰でも可能で、レポート提出期間は2ヵ月が目安となっています。実践練習などはなく、座学と問題集解答後の提出を行い、基準に達していれば認定されます。
一般社団法人日本除菌脱臭サービス協会が発行する民間資格です。「臭気に関する基礎知識」「悪臭の分析方法」「脱臭技術事例研究」などが学べます。1日、または2日間の講義を受講すれば取得できます。臭いを除去することに関する専門的な知識が学べるので特殊清掃の現場では役立つ資格といえるでしょう。
古物とは「一度使用された物品」「未使用でも使用のために取引されたもの」「これらの物品に修理・手入れをしたもの」をいいます。つまり遺品や不用品の買取を行うためには「古物商許可」が必要です。
特殊清掃の現場ではどのような作業を行っているのかをご紹介します。
発見が遅れてしまった孤独死の現場やゴミ屋敷などでは菌が繁殖し、感染症の問題が起こり得ます。除菌用の薬剤を散布し、殺菌・除菌を行います。
孤独死の現場でご遺体の腐敗が進んでしまっている場合、体液などが床や布団、家具などに染み付いています。これらの汚れは通常の清掃では落とすことはできません。専門の洗浄機器や薬剤を使用して汚れを除去します。
害虫が発生しているケースも多く、殺虫剤を用いて駆除します。
腐敗臭はとても強烈で、掃除だけで取り除くのは非常に困難です。このような悪臭をオゾン脱臭機などの専門機器や薬剤を使用し消臭します。必要に応じて床や壁を解体し作業したり、日にちを置いて再度、施工を行うなど念入りに消臭作業をします。
汚れがあまりにもひどい場合には、床や壁の張り替えなどリフォームが必要になることもあります。
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2章でご説明した通り、数年前までは特殊清掃に絶対必須の資格はありませんでした。しかし現在は「解体届」もしくは「解体許可」が必要になったので、この認可がおりている業者に依頼すべきなのは大前提ではないでしょうか。
その他の資格については「持っているから信頼できる業者」、「持っていないから信頼できない業者」とは一概にはいえません。しかし、より専門的な知識を深めようとする業者側の姿勢は評価できるといえるでしょう。
数年前から特殊清掃業に許可が必要になったのには、悪質な業者や技術力の劣る業者によるトラブルが多かったからです。では、許可や資格以外の部分で、より優良な業者を見極めるにはどこを見れば良いのでしょうか。この章では優良な業者の選び方と実際にあったトラブル事例など注意点をご紹介します。
特殊清掃の現場はその汚染度が毎回違うのは当たり前として、汚れの種類や臭いの状況などに合わせて使う薬剤を決めたり、除去方法を変えたりしなければならず、豊富な経験が必要になります。そのため、やはり多くの実績を積んでいるところを選ぶのも一つの方法です。
経験が浅く技術不足のところに依頼してしまった際、特殊清掃の施工をしてもらったのにもかかわらず、しばらくしたら「悪臭が戻ってきた」「シミが浮き出てきた」などの状態になり結局、他の業者へ再度依頼しなければいけなくなった、というトラブル事例もあります。
最初から依頼者の要望に沿った細かな見積もりを用意してくれるかは、その業者が信頼できるかを計る判断基準になります。初期見積もりが安くても当日施工を終えたら莫大な追加料金を請求されてしまうようなところもあるので注意が必要です。
プラン内容が分かりやすく、かかる費用も明確なところは安心です。あまりにも初期見積もりが安すぎるところは何らかの工程を省いていたり、ゴミの不法投棄など法律に反することを行い安価にしていたりする可能性もありますので気を付けましょう。
実際にサービスを利用した人の声はとても参考になるでしょう。口コミの数が多いほど利用者が多いということですし、その内容を詳しく見ていけばその業者の対応力や技術力、かかる費用などがよく分かります。
「電話やメールで問い合わせをしたとき」「こちらの要望を伝えたとき」「詳細な見積もりを依頼したとき」など担当者によって対応が大きく変わってしまうところ、話が二転三転するようなところは気を付けたほうがいいかもしれません。できること、できないことを正直に説明してくれ、誠実に対応してくれるところを選びましょう。
近年需要が増えている特殊清掃ですが、その作業には高い技術力と豊富な経験が必要です。
「解体届」「解体許可」のいずれかを持つことが法律で定められました。これを保有していることは前提として、その他の資格も持っているのに越したことはありません。
しかし優良な業者を見つけるためには、資格だけでなく実績や対応、詳細な見積もりなども合わせて確認するようにしましょう。